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ジェスカ ラ フィン

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戦闘に慣れていないから、強くないけど、これからもっと戦っていけば強くな
ると思うよ。浜辺へ行こう。でも、トーワラの復活は阻止できないかもしれな
い。ジュデの血がそう言っていたから。戦闘には勝つ。でも『ペクノの灯台』
に行かなければならない。僕の予知がそう言っている。…さぁ、バートンのと
ころへ行こう!!」



折り返して、坂道を下りた。砂浜では、バートンが手から炎を出して狐と格
闘していた。ラロレーンは、バートンの後ろから戦闘を見ていた。もの凄い轟
音がして、バートンは火炎放射を空中に出した。飛び上がっているジュデは手
を斜めに広げ、サーベルを炎の上の先につけて、凝結させた。固まった炎の台
を駆けていくと、バートンにサーベルを突き出した。

「くっ!!」

片腕を後ろに引いてインテリ眼鏡のブリッジを押すと、指を2末立て、顔の
血管を浮かせて、炎を増幅させた。炎の波に囲まれた空色の服のジュデは、体
を僅かに下に向け、広げた手のひらをバッ、と広げ上に突き上げると、固まっ
ていた炎がぐるっと1回転して、バートンの前で火柱を上げた。バートンが攻
撃されないように柱の横に回ると、ジュデはサーベルで火柱を真っ2つに斜め
に割って、バートンとは反対側に落とした。上体を瞬間的に上へ持っていった
ジュデは.子の唾を触ると、炎は気体状に戻って轟音を上げて燃えさかえた。
ジュデは90度に体の向きを変えて、軌跡のついたサーベルを振るって、真空
刃を飛ばした。バートンが転がって避けると、砂浜を削って海を縦に小さく割


った。シュウウン!! と空気を裂くような音が鳴り、100mぐらい先まで
飛んでいった。横を通っていた鮫が真っ2つに切れて海に血を流して浮いてい
た。ジュデは上空で1回転をしてバートンの上を覆った。見上げたバートンは
手首を合わせて光を打ち上げた。マントに当たった光の線が消える前にジュデ
はバートンの目を突こうとした。

「.戦だ!!」

ペリンガは崖の下の岩を震わせて移動させ、砂浜から黒い岩石の巨人を呼び
出した。僕は意識を集中させ体に力のイメージを溜め、巨人とペリンガと共に
飛び出した。僕はジュデを殴ろうとしたが、上手く避けられた。飛び上がった
ジュデは巨人の連結した岩の腕にサーベルを当てて防御した。ジュデの背中か
らバートンは腕に光るエネルギーを溜めて首筋を狙った。波際まで吹き飛ばさ
れたジュデは地面にサーベルを刺し、召喚して巨大水魚を上空に打ち投げた。
ギャァァァ!!! と奇声を上げて口を開けて落ちてきた巨大水魚は、僕達が
避けると、ズバン!! と音を立て、砂を巻き上げて砂の中へ潜っていった。
再び、ギャァァァ!!! と叫んでペリンガに食いついた水魚は、もの凄いス
ピードで上空へ駆け上がったが、鱗の隙間や口から閃光が漏れて木っ端微塵に
吹き飛んだ。2末足で立ったペリンガは片足を広げて下り立った。

「…いい根性しているじゃねぇか?」

「…まぁな」

ジュデとペリンガは見つめ合って軽く笑った。

と、ジュデの顔は豹変して声を上げた。

「いくぞ!!!」

ジュデは両肘を腰に当て、力むと、背後から砂の大巨人を呼び出し、砂の大
巨人は両拳でドーン!! と地面を突いて砂を出し、僕の立っていた場所を強
烈な拳で引っこ抜いた。海の中に膝の下まで入れた僕は、片手を起こして駆け
て砂の大巨人の腹を狙い、振り払われそうになったところをかろうじて避けた。
すると砂の大巨人の左足が飛び込んできた。ジャンプすると、ジュデがサーベ
ルを耳元に構えて、切りつけてきた。髪の毛が.し切れた。膝をついて着地す
ると、バートンは上空で大巨人の胸から頭のところまで飛んでいって、大きな
火の玉を両手で支えて吹き飛ばした。振り払った砂の大巨人の片手が粉々に散
って、1歩、また1歩と後ずさりした砂の大巨人の厚い胸板を荒削りした。ペ
リンガは毛を逆立て、手を合わせて、岩の巨人を分解して辺りの砂以外の枯木
や岩や石や海のゴミを集めて砂の大巨人より高い、巨大な剣を作った。目を閉
じ、手を広げて、

「ハァァァァ…」


と叫んで力を込めると、巨大な剣は振り上がって大巨人を真っ2つにした。
すぐさま巨大な剣は起き上がって横向きに切り裂いた。

「ゴゴゴゴ…」

と砂の大巨人は唸って空中で4等分になって崩れようとしたその時、ジュデ
は大竜巻を起こしてその中からさらに形を変えた砂の大巨人を呼び出した。砂
の大巨人は両足を着地させ、手の甲を巨大な剣に入れると、手の甲の厚みだけ
吹き飛んだ。海に落ちると、円を描いて切りつけてきた剣を、食い止めた。ペ
リンガは力を集中させて、腕で、ジュデの首筋を狙おうとした。砂の大巨人の
拳がペリンガの真下に落ちた。

「くそぅ!!」

と、バートンは叫んだ。

「もう、仕方がない!! はぁぁぁぁ…!!」

バートンは力を集中させると、ビルほどの砂柱が順番に轟音を立てて立って、
全てが静まると、砂の大巨人と長剣のいる地面に穴が開いた。しばらくすると、
超巨大な砂柱がその穴から立った。砂柱が消えると、残された大巨人はボロボ
ロに穴が開いていて、落下していき、煙を立ててバラバラになって砂の厚い層
ができた。狩人の.子のつばを触って深く被ったジュデは、

「くっ!!」

と言って奥の断壁の上の森の中へと消えて行った。僕とペリンガとバートン
は砂浜に倒れた。



ラロレーンが駆けてきて、

「大丈夫ですか?!」

と僕達の座っている中心にやって来た。

「ハハハ…大丈夫どころじゃないよ…もの凄く疲れた…ジュデは北の『ペクノ
の灯台』へ逃げたんだ。『イージュの町』でも海辺での騒ぎを聞いて大騒ぎし
ているに違いない…、『イージュの町』に寄る前に、『ペクノの灯台』に乗り
込もう!! 盗賊団の棟梁はてっぺんで待っていると言ってたんだ。ラロレー
ン君は能力を使えるようになるまで、もう.しだと思う…絶対にリギーに使わ
れないように粘らないといけない。リギーに君を渡すようにフェイントかけて、
全員で1気に奴を仕留めるんだ!! ウィズウィングル君は『ペクノの灯台』
で人質になっている。泡の杖もある。あと揃ってないのは人間だけだ。それも、
忠.な契約を交わしたラロレーン君を生贄にする気だ。リギーのことだ、確.
に.行する。こっちから行って、悪の野望を阻止するんだ!! さぁ行こ
う!! ……うん? 何だ?…、またか!!」


バートンの視線の先の「ペクノの灯台」から、無数の泡が飛び出して宙に浮
いて、頂上の壁のない場所から吹き出して下りていき、森の上に溜まっていた。
森の上空に泡が.き詰められていた。泡の波は比較的早いスピードで森を飲み
込んでいった。

「あれが爆発するんだ!!」

ペリンガが叫んだ。戦闘意識を解いたのか、いつの間にかペリンガは両前足
を地上につけていた。泡の群れは森を抜けて、崖を伝って海の上に落ちて次々
と爆発した。

「水に触れると爆発する仕組みなのか…」

バートンが言った。すると「イージュの町」の方から悲鳴が起こった。
作品名:ジェスカ ラ フィン 作家名:丸山雅史