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ジェスカ ラ フィン

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『イージュの町』までの道のりは叩き込んでいます! ペリンガの後について
行って、武器屋か防具屋に入ったら、代金は後で払うと言ってこっちに向嘗て
下さい!! 必ずそれらでこいつを仕留められるはずです! それまでの間は
私が食い止めておきます! さぁ、ペリンガ、行くんだ!! さぁ、早く行っ
て下さい! 私が必ず食い止めます!!」

僕にサーベルを振り下ろそうとするジュデに、バートンは拳を作って走って
きた。ジュデが上手く避けると、逃げる隙ができた。

「さぁ、早く!!」

先に駆け出したペリンガが僕に足で空を切って合図をした。




僕は砂を蹴って坂の上の土の道へ走り出した。上りきると2つの道に出た。
右には大きな「ペクノの灯台」が聳えていた。紺青色に空は暗くなっていた。
今にも雷が鳴りそうな具合だった。

ペリンガは、

「さぁ!」

と叫んで左の「イージュの町」の方向から牙を見せた。ペリンガの首には、
くすんだ石の首輪が下がっていた。そして光っていた。駆けて行くと、途中に
鴇色の派手な洋服を着た狐の剣士がサーベルを突き出して現れた。

「俺達はジョイントが使えるんだぜ! 俺の名は、ガンズだ! お前らには無
理だ!! かかれ!!」

ガンズは渦を巻いた炎を、サーベルをこっちへ振り出して飛ばした。炎の先
端はドラゴンのように口を開いて体を伸ばして襲い掛嘗てきた。僕達は前を純
度が30%ぐらいあるエメラルドグリーンのダイヤモンドのように角切りされ
たシールドで攻撃を防いだ。腕を解いてそのシールドに触ってみると、暖かい
付着しない液体の中に手を入れているような感じがして、そのままシールドの
外に出してみるとすり抜けた。炎の攻撃を防いだのにすり抜けるのは不思議だ
と思った。

「な、何だ、そのシールドは?! お前もらうが使えるのか?」

ガンズは叫んだ。

「その通りさ!!」

ペリンガは別の人格を出したように表情をにやつかせて睨みつかせた。

「その透明なシールドはこの次元のものではない。僕の体内から、取り出した
ものなんだ!」

ペリンガは両股を開いて姿勢を整えた。

「さぁ、ジョイントよ!! 僕の言うことに従い、球体となって、形を変え、
その狐を突き抜けろ!!」

そのシールドは、球体から姿を変え、騎士の姿になった。鎧の音を立て、巨
大な剣を振ってガンズにダメージを与えた。よろめいたガンズは、

「くっ!」

と顔を苦くして、

「いでよ!」

と叫んで背後から突き上がる黒い影のドラゴンを呼び出した。上空でスピー
ドを弛め、体制を整えたドラゴンはにやけて上から炎を吹き出した。ペリンガ
は構えて騎士の盾を大きくさせた。炎は盾にぶつ嘗て2手に分かれて遠くに伸
びていった。炎を切るとドラゴンは再び炎を吐いて斜めに落下して突進してき
た。炎を防いでいた騎士はドラゴンにタックルされて僕達の方向へ吹き飛んで


きた。僕とペリンガは辛うじて避けて草地に倒れた。僕はペリンガをかばった。
騎士は黒い影のドラゴンに押し潰されながら剣と楯で抵抗していた。ペリンガ
は疲れてきているようだった。呼吸を荒くしていた。軽く笑ったガンズは目に
も止まらぬ速さで僕の前にやって来て、サーベルを横に構えて、手を広げて呪
文をぶつぶつ唱えた。震えるような音がして辺りが暗くなって、古代文字が回
転して輪になってサーベルの周りで2つ逆に重なってサーベルに紫色の力を込
めた。辺りが元の明るさに戻って、ジュデが集中してサーベルを振ると、紫色
の稲妻の形をした意識を持った光が僕達を狙った。胸が押し出されて、バチバ
チと光った僕達の周りは、僕達を宙に動かせて激しく痛めつけた。倒れた僕は、
体を動かして後ろを見てみた。騎士が体を食われて足をドラゴンに巻きつかれ
ているのが見えた。ギギキ…と徐々に体を絞められて口を歪ませ、力を失い、
剣を落とし楯の取っ手を離した。僕は尻尾を遊ばせているドラゴンに怒りが燃
えた。

「…ちくしょう、…どうすればいいんだ…」

僕は完全に気絶してしまったペリンガの顔を見た。バートン達のことを思い
出した。殺されていないだろうか。起き上がれるにしても、奴らに勝てるはず
はなかった。ジョイント? 一体何のことだ? ソフサラコマの付けていたペ
ンダントを思い出した。…そう言えば、あの旧時計工場の洞窟の前の森で、ソ
フサラコマは小鳥になって太陽を呼び、あの空間に扉を作ったんだ…彼は何も
言わなかったけど、僕にもイメージをすることができれば、あのようなこのよ
うな魔法のようなものが使えるかもしれない…どうすればいいんだ…どうすれ
ばいいんだ…ジョイント…ジョイント…ジョイント…ジョイント…。

ガンズが手を広げて駆けて来ると、僕は上空へ飛び上がっていた。そしてガ
ンズに向嘗て連続で拳を繰り返し放った。体勢を真横に変え、サーベルで拳を
払うガンズを転ぶことなく下がり続けさせた。上体を起こして足を着けた。進
み続け、身軽い、自分では分からないパンチを繰り返し放っているのは僕だっ
た。不思議な感.だった。

「今だ!!」

僕はパンチをガンズの頬にかすらせたことに気づき、前蹴りを顔と胸の間に
入れた。ガンズは後ろに吹き飛び、サーベルを放して眉間に力を入れて目を閉
じて倒れた。後ろから叫び声を上げてドラゴンが襲ってくるのが分かった。爪
の付いた手に力を込めて僕を引き裂こうとした。すると僕の残像が4つに分か
れて、その後ろから僕はドラゴンの下腹を殴りつけた。ドラゴンは口を開け、
舌を出し喘いだ。後ろに忍ばせておいた尻尾を叩きつけてきて、僕の構えた左
手に当たった。炎を吐いて、僕を燃やそうとした。と、騎士が巨大に楯を増幅
して、僕を守ってくれた。騎士は仕返しと言わんばかりに、腹を真っ2つにし


た。僕は切れた尻尾を掴んで、力任せにゆっくり地面に振り下ろすようにドラ
ゴンに叩きつけた。紫色の血が飛び散り、尻尾は肉が歪んで血と肉の脂が出た。
ドラゴンは悲鳴を上げて、息を引き取って飛び上がり、高い雲と同じ位置で白
い煙の.となった。ガンズは気絶して倒れていたが、騎士が首に飛び掛かり、
剣を首に垂直に立てて息の根を止めた。うっ、という声がしてガンズはだらん
と目を開けたまま頭を横に倒し、瞬間的に空へ上がり、白い煙を細長く辺りに
飛ばして、音も立てずに爆発した。ドラゴンの遺体は.し形を歪めて流れ、雲
を通ると煙は姿を消した。カチャ、と音がすると騎士が僕の前にやって来て煙
になって姿を消した。ペリンガが起き上がって、僕の元へ走って来た。

「浜辺に行こう。バートンもらうが使えるんだ。戦闘しているはず。武器や防
具を持っていたほうがジョイントの能力が増す人がいるんだ。僕はそれを知っ
ていた。君がもうそろそろ能力が使える頃だと思っていたから。『イージュの
町』で、君が絡まれた時に、試そうと思っていたんだ。僕は相手を甘く見てい
たよ。僕だけの力でなんとかなると思ってたんだ。バートンと敵は互角に戦っ
ていると思う。ラロレーンは、まだジョイントは使えないかもしれない。まだ
作品名:ジェスカ ラ フィン 作家名:丸山雅史