小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ジェスカ ラ フィン

INDEX|24ページ/114ページ|

次のページ前のページ
 

ことが分かり待ち伏せしているはずのパトカーはどこにもなかった。床屋の髭
剃り用の粉クリームの匂いがした。大きな泡だけが辺りの水面に飛び散ってい
て、短い間に元の位置に泡が集まって橋を形作り出した。僕達は「ドゼルの半
島」の出鼻の先に直径1m程の泡が無数に遥か彼方の「ターピスの小島」まで
浮いているのを見た。

「?」

僕はバートンの顔へ振り向いた。

「リギーがソフサラコマ君を誘拐したとして、この泡を渡って『ターピスの小
島』に渡っていった可能性は0分大きいと思うよ。トーワラを復活させる為の
条件は、高いところから杖に雷を落とすことだからです。『ペクノの灯台』は
トーワラを復活させる為に作らせたのだと専門家は早くから注目していたので
す。ですから、できた当時から、ビチュアンゼの周辺には厳重な警備が.かれ
ていたんです。彼が船で渡っていったとは考えられない。怖いと考えるかもし
れないけど、1番初めに泡を渡る者には泡を肉体とする者のエネルギーを感じ
ることができるのです。警察のパトカーが突然姿を消したのは、パトカーが泡
の力のせいで海に飲み込まれたからでしょう。この泡の橋は、渡る者を自ら選
ぶ意識があるのです。この泡こそが、トーワラの泡なのかもしれません」

「と言うことは、もしかしてこの泡が怪物トーワラの原型に?」

「…だと思います」

バートンは浮いたり沈んだりする奇怪な泡を見つめた。

「僕達が渡ると消えるんですか?」

ラロレーンはバートンの横に来て僕達の話を聞いていた。

「分かりません。渡るまで分からないです。パトカーは上がって来ないでしょ
う。…私達、の為の泡です。行きましょう」

バートンとペリンガは足をゆっくり泡へ出してその上に乗った。泡は圧力の
分だけ凹んで、バートンとペリンガを支えていた。バートンはごくりと大きな
唾を飲み込み、もう1歩そっと.し前の泡に足を出した。割れることなく、バ
ートンは海の上に浮かんでいた。彼は振り返ってそっと笑みを零した。ペリン
ガは爪を立てて割ろうとしたが引っ掻いても全く割れなかった。つるりとした


泡の風船の赤いてかりを見て口を広げたペリンガは、そのまま歩を進めていっ
て加速して歩いていった。ペリンガと両手でバランスを取りながら歩いていっ
たバートンは、どんどん泡の風船を渡っていった。

「僕達も行きましょう」

ラロレーンは僕に言い、同時に渡り出した。振り返ってみると、夕日が遠い
西の海に浸っていた。半分以上が溶けて海に流れているように見えた。僕はブ
ヨブヨの割れない泡の橋を海に落ちる心配もなく噛み締めながら歩いた。



30分ぐらいした後、バートンとペリンガは砂浜に立っていた。「ターピス
の島」の右側に巨大な「ペクノの灯台」が見えた。「ペクノの灯台」から泡が
飛び出していた。ずっと奥に「イージュの町」も見えた。あとは左に全部、温
帯林が見えた。2分ぐらいして、ラロレーンが浜辺に着いた。その5分ぐらい
して、僕が下り立った。椰子の木があった。砂浜の上には、草木の剥げた道が
あった。僕達がその道を目指そうとすると、突然大きな爆発音がしてその無数
の泡は無造作に白い柱を立てながら爆発していった。細かい.が海上に降り注
いだ。僕達は閉じ込められた。リギーがどこからから、僕達がこの島にやって
来たことを見ているのだ。

「どうやら末当に閉じ込められたようですね」

バートンは察知していたとでも言うように僕達に呟いた。

「この『ターピスの小島』は各国で受刑者となった者が送られる監獄です。気
をつけて下さい。ここの町や道端でごろついている囚人達に絡まれたらやっか
いなことになります。盗賊団は昔からこの『ターピスの小島』を拠点にして活
躍してきたのです。船は.西の『ジャトジャス遺跡』に繋がる.に河口を開い
た川を上って行きます。『ジャトジャス遺跡』そのものが財宝であると言って
も過言ではありません。『ジャトジャス遺跡』は、ジャングルで囲まれていま
す。いっぱしの探検家では、奥に潜む遺跡へは近づけません。『イージュの町』
からはジャングルへと通じる道がありますが、それはほとんど死にに行くよう
な行程です。私達だけの力で行けるかどうか…。盗賊団は秘密の道を知ってい
ます。リギーは太古から『ジャトジャス遺跡』と『ルダルス』の階段を守り続
けています。彼の首には、13月の石がぶら下がっているといわれています。
しかしまだその姿を見た者は誰もいないともいわれています。…危険ですが、
まずは『イージュの町』へ行って対策を練りましょう…、ソフサラコマ君の行
方は分からずじまいですが、そうするしかありません。町にはまともな人がい
ないでしょう。お金はありますが、食事は取っていませんでしたね。『ペクノ
の灯台』で何かが起こるような気がしますが、目立ったようなことをしなけれ
ば、私達は『イージュの町』の人間に頼んで『ジャトジャス遺跡』へ進入する


ことができるかもしれません。1.この『ターピスの小島』は流刑の島ですが、
そんなことは気にしていてもしょうがないと思います。住民は、大抵は脱獄し
た囚人です。盗賊団の下っ端は彼らと助け合って生きているといっても過言で
はありません。盗賊団に金貨や宝石を渡して刑務所から脱走してきたものばか
りです。…アリとアブラムシのような関係ですね。今日はもうこんな時間です、
お互い、極力何も喋らないで、宿の中でじっとしていましょう。明日も、そう
したほうがいいですね。私が町の中を歩き回って、情報収集をしてきます。お
金を渡せば、必ず協力してくれる者がいるはずです。きっと上手く行きます。
今日は、宿に泊まって、鋭気を養いましょう」

段壁から見える「ペクノの灯台」が目に焼きついた。バートンの話を聞き終
わり、歩き始めようとすると、突然岩陰から1匹の狐が飛び出した。

「な、何者だ!?」

「エクアクスを私は知っている。私はお前達に忠告に来た。今日の夜、北方の
『ペクノの灯台』に雷を落とし、復活していなかったトーワラを復活させる。
お前達を用意した。トーワラには体が必要だ。ウィズウィングルという名の馬
は、人質に取っている。ラロレーンは、我々がデダロンズ町長のこういう時の
命で、命を預嘗ている。トーワラを完成させるには、2つの物体が必要だ。馬
の物体と、人間の物体。リギー様は、トーワラを復活させようとしている。さ
ぁ、ラロレーンよ、『ペクノの灯台』に我と来い。最上階で棟梁が待っている。
来ないのなら、私がお前をここで殺す。来るのなら、お前達をここで倒す。さ
ぁどうする? か嘗て来い!! 俺の名は、ジュデだ!!」

ジュデはサーベルを抜き僕の胸を抉ろうとした。僕は必死で避け、ジュデに
足を引っ掛けて転ばせようとした。ジュデは上手く避け、僕の頬を切ろうとし
た。僕は後ずさりし、バートンの方を見た。

「…逃げて下さい!! 『イージュの町』へ行って、武器屋から武器を取って
くるんです!! そのままだと絶対に勝ち目はありません!! ペリンガに
作品名:ジェスカ ラ フィン 作家名:丸山雅史