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transcendence

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 desire



物事を捉える心の確信にそっと、そっと触れる。心が震える。震えは永遠に
止まらないで欲しい。夜の森の湖の水面に指を垂らすと、痛みと幸福が釣れる。
葉一枚一枚の冷気が風となり、僕を背後から包み込む。鯉幟の体内を潜る感覚。
やがて風は死に、僕の世界はゆっくりと脳を回転させ、昇らない夜明けに僕は
涙する。まだ伝えたい想いが多分にあった。

昔の銭を弄び水飴を伸ばす。砂漠の公園の水飲み場、僕はそのメタルの噴水
の鈍光を飲み込んでしまった。喉の渇きと眠り。有限のタキオン、耳に乱反射
する詩の躍動感。僕は小さな星を南国の砂浜で採集し、雨の北国の砂浜で足跡
を残す。其れ等には関連性等存在しないかもしれない。だが説明するには彼等
の小腸を引き抜かなければ何も語ることができない。僕にとって、世界はあま
りにも巨大であり欲望の五戸は窮屈だ。

考察を続けるには空腹を満たし続けるしかあるまい。吹っ切れた天才の欲望
は、次の欲望を枯渇させようか迷走して居る。僕は敢えて抽象概念を存在化さ
せたい。眩い光を浮かべた大海原にクルーザーをさらに浮かべ、穴を空けたい
障子から風情を感じる。

竜巻が右手の上で体温を失っていく。右側の席のショートボブの女は僕が女
に惚れていることを知らない。其れから発生した労苦は無限の(若しくは有限
の)恍惚感に変化した。左側の焦燥は上着の両袖をたくし上げ、推敲中の原稿
の誤字脱字をピン撥ねする。

広大無辺の草原に風が津波を引き起こす。僕は記憶を遡り、風を眠らせて、
瑞々しい草原に身を横たえる。風の寝息が鈴虫の背中に乗って僕の耳元へとや
って来る。素敵な才能、素敵な非常用の缶詰。音楽が缶詰の中で跳ね返り、僕
の心の中の其れはつられて踊る。炎天下の下、無人のローラースケートが坂道
を直進し続け、真下の高速道路へ飛び出す。

夢の夢が足音、物音を立てて僕を驚かせる。歴史は後半へと到り、僕は都会
の空気を嗅ぐ。其処には一つの死が転がっており、灰色で全裸の沈黙がコンク
リートと同化している。僕、ロダン、黄色い星。花は花弁を開き、満開の痛み
を放出、連続的な心象を神様の影の頭に置き、断続的な心象はたった今、未来
の僕に嘘を付いた。無垢の世界、邪なネバーランド、現実など何処にも無い神
様の世界。僕は報われない欲望を一匹ずつ殺していく。そして夢の現実世界は
深い眠りに就く。

氷風呂に入り筋肉を引き締める。冬の海辺は烏が死んで居る。視界の果てに
は胸の奥を疼かせる半島が見える。そうして、また掛け替えのない欲望が死ん
でいく。

記憶の真ん中に存在する音楽室で、顔の無い女は木琴を叩き、疲れて居る。
僕はその様子を埃の被ったグランドピアノのカバーの上で肘を付き、両手を組
んで溜息をついて見て居る。怠惰に流されない僕と、無人の女。譬え記憶を遡
ろうとも、神様の世界、いや、僕の心臓が止まる時まで時間は流れていくのだ。

空腹のせいでも、集中力が切れた訳でもない。僕の心は自発的にゆっくりと、
脳から乖離していった。凧が自発的に僕の凧糸から離れていった。そうしてま
た一つ苦しみが雲と同化し、僕のこの世界に叩き付けるような.を降らせる。
万物の欲望の睡眠時間、僕は一人自分と向き合い、焼け野原の黒煙の匂いを嗅
ぐ。風の津波が焼け野原を一掃するが、その場所で横たわることは今直ぐには
不可能であると、僕は女に言いたい。





 one



空白の空間。精一杯の闘志で少しだけ、明るく振る舞う雨。彼は何を伝えた
かったのか。この右目の涙腺から出て来た涙の意味だろうか? 深く傷付いた
自尊心は心の底に虚無しか積もらせない。僕は白雲が降らせる雨の中、湿り黴
臭い六月の扉を閉めたままだ。誰も立ち居らせない。しかし皆、この白い世界
に居るのだ。

実験用マウスが回し車の中で走って居る。彼女の差し歯が回し車に当たる。
すると途端に僕の憂鬱は掻き消える。溜息は高く青い空へ浮上し、またまた白
雲と成る。僕は自分以外信じない。唯一無二の存在に裏切られたような気がし
た。地上の列車と共に日々がやって来、其れ等は彼女の世界を目まぐるしく変
化させる。滴り。僕は極度の憂鬱で胃を病んでいる。これから読みたいこの夜
の為の詩集も在る。幻を凝視する。僕の溜息は完全な漆黒と成る。僕は両手の
雑草を地面に落とし、夜想の最中にオートバイの音に感情と想像力が膨張した
のを感じた、明るく振る舞った.の独奏はやがて悲しみへと変わった。

僕の中の果てしのない夜への旅へ。僕は死ぬ時、この言葉をぽつり、と呟き
死にたい。病んだ精神がもくもくと吐き出す水素、酸素。僕の森を斧でぶった
切った瞼。孤高となったその時、液晶画面と紙の間を願い星が鋭角に上がって
いった。思い出すとも。若い女の囁きが聞こえる、僕は右側の世界へ入る。

近い将来の予感、とある青年の独奏、平凡な日常。この世から音楽等無くな
ってしまえば、僕は退屈で、この世から両手が無くなれば、僕は最も大嫌いな
日射しで死ねるだろう。僕は何の為に生きて居るのだろうか? 他人の言葉等
要らない。何故なら僕は完璧な答えを知って居るのだから。僕は、何の為に生
きて居るのだろうか? この痛み、この胃の.症を感じる為に生きて居る。僕
は世界を構築する、誰にも気付かれない優しさで、そっと…。

ウィーンでの眠り、テムズ川のせせらぎ。僕はその水面に白鳥を落とし、自
分がどうして白鳥を落としたのか分からない。凡人のインスタント・ラーメン。
今、現実世界で何が起こっていようと、他者達は皆無言だ。そしてその無言が
僕のストレスと成る。そんな時僕は左斜め、洗いたての現実(=世界)を見つ
める。僕の体が飛び上がればその中の隙間に希望が生まれる。鼻の穴から吐き
出す溜息。眠気が思考を混乱させる。ふと振り返れば山、山、山。現実との接
続をようやく遮断することに成功した。全ては?時?の御蔭だろうか。本当に
そうなのだろうか。

僕の心は元の形に戻り再び白い空、.の?都会?で詩を掻き続けて居る。こ
のまま歳を取らず、時間が流れるだけで死んでいけたらどんなに幸せなことだ
ろうか。心の暗闇も減った、女との温もりも消えた。僕はlevel1に戻り、
RPGの概念を抜本的に変える…。僕には彼の言い分が幸せそうに感じられる。
?あぁ、やっと一人になれる?。僕は彼のようにまだ一人になれない、そして
現実が僕の感情を興ざめさせる。全ての想いを詩に託して生きて居る代償なの
だろうか? 果てしのない夜への旅が終わりを告げる。この、僕だけに。痩せ
衰えた心。使われることの無い笑みを浮かべる為の頬の筋肉。沈黙中の輪廻。
悲しい感情の思い出。僕は彼の遺言を聴きに来た訳じゃない。一人に成る為に
来たんだ。





 simplicity



漂う無、夢から聞こえる太古の足音。大地の調べ。微笑する血。足踏みする
マラソンランナー。ベルトから弾ける桃色。僕は死ぬだろう。孤独な小笛。旅
立つ空白の世界。白馬の空。空白の記憶。町や街が活気を帯びてくる。