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transcendence

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僕と今年の受験生等との心境を重ね合わせ、君の為の結婚指輪を二つも、飲み
込んでしまったんだ。





 eardrum



何かが始まろうとする音が聴こえる。僕は誰? 私は誰? 極寒の国にて心
臓を凍て付かせる現状への不満。屏風が上手に坊主に絵を描いた。言い様の無
い不安がテレビカメラの向こうの無限大に心臓を浸し、欲張りな子猫が全人類
に鼻の中の掃除を始めるよう、白いホイッスルを鳴らす。


鯰が洗濯機を回す。文明の利器の底で渦を巻く。僕は日常に妄想が戻りつつ
ある。黄熱病の野口英世は柿を食い、喉を潤した。遠く、分かり易く、(孤独)、
僕には分かる、蒸発していった名案達よ、赤道直下のアフリカで、僕は喘息を
病んだ。

新しい忍耐力の通じる世界、隣の家の瓦を左拳で真っ二つに割り、記憶喪失
になる。熱が興ざめを目覚めさせ、興ざめが湿地帯に以前の九九.九九九%の
熱を呼ぶ。炎のような髪型は静止させられた、体力について唇に付いたスイー
トポテトの糖分が僕に説教する。どろりと澱んだ心の闇が皆殺しの刑を微生物
達に言い渡し、僕は僕だけの世界に幽閉される。其処には日本人が作者の漫画
本が全て備えられてあった、僕はふらふらの頭で書店を出て、静電気に取り憑
かれて、わざと欠けられたビー玉を探しに緑の草原へ向かう。体は天国で揺れ
ている。

女達が透け透けのワンピースを着て三人、蝶々と戯れているのを無視し、緑
の草原の奥に広がる滝壺で水死した男と視線が合う。彼はうつらうつらと川を
流れ、やがて湾岸にて白い鳥と成る。敵の陣地に許可も無く侵入した閉塞的な
白い鳥は、僕の心臓の奥の心の音を嘴で割り、そして即死する。僕の視力は上
昇し、現実の世界に心臓を浸す。音が鳴る。何かが始まろうとしている気がし
ている。

海峡の海水は冷たく、また墓穴を掘った老人は痙攣を起こし掛けたので、僕
の心の底では溜息が精神的快楽をこれから一年間、与え続けた。何かを与える。
僕は僕に何かを与えたい。永遠でもいい。死でもいい。疲れ果てた女達は鼓膜
を張っていないので、本能が地上へ無事、着陸することは無い。僕は苦痛を探
しに思案へ入る。カバーを外せば、腸腸腸、思わず昔の自分の文章に吐き気と
眩暈がした。月の光が僕をゾンビに変えたがっている。その中で、ただならぬ
ぬか喜びを感じ、頭の中のヴァイオリン弾きを射殺するシューベルト。

僕は何処に着陸しようとしているのだろうか。この恍惚感で二段の跳び箱を
跨げるのか。死は天五に生息するのだろうか。僕は何も言わないし、何者でも
ない。一切の本心的流通を遮断し、再び蛹に戻ろう。苦しいのだ。苦しいのだ。
やはり〈孤独〉は苦しい。だが僕の前から砂嵐のように、全ての邪悪な景色は
消えていく。蛹に還ったまま死ぬのも悪くは無い。ただ、悪くは無いだけで。

旅人達は続く。未開の地へと、僕の全てを誤魔化す為に。動悸が激しい。睡
眠中の夢のライフラインを破壊、破壊、破壊、僕は正人に成れる。全てを僕一
人のせいにするのはどういうことだろうか? 僕は孤独故に苦しみ、苦悩し、
夢の鍾乳洞で一人怪物と戦う。延々と続く不愉快さ。饂飩の様な鯰が僕の世界
をぐるぐると回す。彼は不死身であり、次第に世界を飲み込んだ。過去現在未
来への文法が通用しないこの世界。僕は死んで、延々と本音を吐き出すことが
できず、死んだまま、明日、何かが始まろうとする音に鼓膜の無い耳をじっと
澄ます。





 white



心の中には無い、暗闇の澱んだ川が森の中に在る。その中に鯉が一匹、髭を
異常に長くして僕の中心を撃ち抜くタイミングを待って居る。リフトに乗り込
んだ僕に、根源的な平穏が寒風と共に染み込んで来た。憂鬱な黄色い玩具が僕
の真横に座って居る。十二月にシャングリラの花が咲いた。僕の十年前の記憶
は憂鬱を帯びており、それを浄化させることは誰にもできない。ピストルが冷
たい眼光を放とうとして居る。

不安は詩を書く時に如実に滾々と胸の底から湧き上がって来る。イメージが
真っ白にならないように。今宵も自動車事故で僕の肉親が死ぬ。それは昨日も、
明日の英語圏の日本でも。グラビアの女に胸を押し付けられれば、この苦しみ
は消滅するのだろうか、エイプリルフールの白。高価な香水が日照りの激しい
春の庭へと続いている。

何も語らなくていい。ただ、尾鰭のついた言葉が心の中で泳ぎ、線香花火の
落下と共に死んでいくのを内面の眼から覗いてみれば、雲を掻き分けてやって
来た中年の悪魔に魂が欠けていく様が分かるはずだ。美しい男は孤独な街に降
り積もる魂の粉を飲み込み、肺が意味も無く侵されるだけだ。両手が白い翼に
変わる夢をみた。そして現実でその空想に胸を時めかせた。恐怖で両手の震え
が止まらない、僕の中で地震が起きているのだ。

時間を掛けて煮詰めた林檎のジャム。蓋のべたべたが指から取れない。夜の
故郷の光、僕は線路の上に虚しく存在していて、コートは死者の灰のように真
っ白だ。廃棄され死んでしまった駅のプラットホームで、夢が解脱した。夜間
飛行の戦闘機の夢に掴まり、夢想した無限大の未来の風を受け、土木工事現場
のヘルメットにヤドカリは移住する。僕は熟れた脳味噌のようなキャベツ一玉
を朝市に丁寧に並べ、春の到来を今か今かと待ち伏せて居る。幻滅と幻想、崩
壊としゃれこうべ。砕けた羊のピストル、静脈から動脈へ、酸素を喰らい、二
酸化炭素を吐き出す光合成。未成年の凄愴。

蛇の螺旋階段の屋上から眺める世界の終焉。蛇の鱗は僕の胃袋の中に落ち、
親指姫のボートと成る。名前を付けられた、才能を見つけてもらった、自分の
存在意義がようやく見つかったボートは瞬間的に胃液に溶け、親指姫は下半身
を失ったところで天界へと、自力で昇って行った。背中には何の罪も背負って
いない。自由な日々。英国式紅茶を煎れる独りぼっちの午後。僕は彼に付き合
い、彼の悲しみについて語り合った。拒絶反.を起こす僕の心と彼の心。「今
日一日はずっと僕と一緒に居ていれ。お願いだ」。

孤独は唄を歌い、僕はそれにじっと耳を澄ます。ネームプレートが融けてい
く。己の恐怖すら楽しんで居る僕が居る。星々の合間を突き抜ける僕の光。ブ
ラックホールを噛み砕く僕の光。ホワイトホールを噛み砕く僕の光。宇宙の出
口へは僕が生涯を終えれば決して目を見開くことは無くなるだろう。無限の苦
痛、恐怖から灰色の有限の至福へ。自分の魂へ下りる前の僕の怠惰。しかしよ
うやく見つかった僕の詩作におけるテクニック。子羊の羊毛を引き千切り、黒
ずんだそれを彼の飼い主の元へ持って行くまでの極めて自己中心的な嫌悪感。
魂の底が冷えている。僕は白の絨毯を其処に.き詰め、自分への御褒美として
有限の至福を使用しようとした。だが、僕の熟れた脳味噌のようなキャベツ一
玉で、一体、何人の心を癒すこと、腹を満たすことができるのだろう。理不尽
な世界から脱出し、白い列車に乗って誰も居ない土地へ行ってみたい。理不尽
な世界で稼いだ金等、心の中には無い、暗闇の澱んだ川に流してしまえ。