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MARUYA-MAGIC

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う仮説はまんざら嘘でも無いだろう。僕は二十八個の宇宙を食べ終えると、「世
界」の種を地面に吐き飛ばし、この世界の宇宙にはいない君の唄を口ずさみ始
めた。それは「生命の神秘」を主題にした唄であった。もう一人の?君?は、
君の唄を歌っている時は心の地面の下で死んでおり、君への恋愛感情が麻痺し、
凝り固まっている時に、?僕に詩を書かせた?。やはり?君?でないと駄目な
のだ。この葡萄の森に留まる為には。

そしてとうとう僕は、この惑星で、僕以外の唯一の生命体である、伽藍鳥に、
君のことを忘れさせてくれ、と懇願した。すると彼は、「末当に君の彼女への
性質を?食べちゃって?いいのかい?」と質問した。僕は、「構わないんだ、
僕がこの惑星で生きる為には、どうしても忘れなければならない。?先天性精
神的疾患?なんだ」と説明した。すると伽藍鳥は首を左右に振り、暫く沈黙し
た後、「なら、今夜は?魚?についての詩を書いて眠ってくれ。そうすれば君
の彼女についての夢を食べることができる。それじゃあ」と言って、彼は棲み
かへ帰って行った。

翌日以降、僕は丸太小屋の机の上を整理していた時、膨大な「君」と?君?
という人物に宛てて書かれた大量の詩が載っている紙束を発見した、?君?と
いう人物のことはすぐに分かった。死んだ女性のことだ。しかし「君」という
人物のことはまるで分らなかった。僕はその詩を外で燃やした、そしていつも
のように葡萄の良し悪しを確認する為に歩き続けていると、一匹の伽藍鳥の死


骸が横たわっていて、昆虫達に.しずつ、肉体を蝕まれているのを見た。僕は
その伽藍鳥の為に墓を作り、土葬した。しかし土葬したとしても、昆虫達に喰
われることは変わらない。僕はその伽藍鳥が何故死んでいたのか理解できなか
った。

再び小屋へ帰って来ると、椅子の下に、一枚の紙が落ちているのを見つけ、
それに書かれていた詩を読んでみると、其処には?魚?に関する詩が僕の筆跡
で載ってあった。僕は何で魚についての詩を書いたのか思い出そうとしたが、
頭の中にその記憶が無かった。僕はそれから?君?への詩を書き、?魚?の詩
を外で燃やした。











「生まれる前から君が好きでした」



やっぱり君と僕は、森の中を進み続ける。途中でキタキツネに出会い、?彼
?は木に生っている葡萄を前に涎を垂らしている。僕は葡萄の木へ登り、一番
大きな房を取って彼に渡す。彼は丁寧にお辞儀をし、僕の頬と自分の頬を左右
均等に.わせ、手を振って立ち去って行く。僕と君は微笑み、森を抜ける。そ
の先には人類の祖先の化石が断層に浮き出ている旧発掘現場があった。僕達は
その近くに分解されずに残っていたプレハブへ入り、休憩がてら、君の作って
くれたサンドイッチを食べる。その後デザートの葡萄を食べ、君と見つめ.い、
君の子宮に精子を吐く。僕のペニスは緊張し、硬直したまま、君の美しい瞳を
再びまじまじと見つめ、やはり君のことが好きなんだとしみじみ思う。そして
美しい君に、「生まれる前から君が好きでした」と正直に告白をする。すると
君は唇を重ね.わせてきて、君の葡萄の味のする唾液に塗れた舌が絡まり.い、
いつの間にかまどろんでしまった二人を諦観視している僕と君。

.なくとも僕と君は同じ人生を最低でも?一回?繰り返している。君は再び
葡萄味のするヴァギナのエキスを僕に飲ませるし、その代償としての最高の快
楽を再び味わうのであろう。宇宙についての話はもう耳にタコができる位君に
言い聞かせたけれど、僕の自分なりの使命は、それに対する君の理解度まで全
人類に理解させることだ、しかし僕の持論は.完成で、宇宙を含む世界には果
てしがない、という他者に植え付けられた固定観念はやはり納得がいかない。
でも、いつか僕の持論が証明されて、?世界に果てがないのではなく、世界の
始まりへ戻るのだ?と大々的に発表されれば、僕の不安は浄化し、君と再び、


同じ人生を最低でも?一回?繰り返しているという二人だけの?固定観念?
を、生涯を終えるまで抱きながら、?束の間の?、安らかな眠りに就けるに違
いない。

年老いた僕と君は、現在の?僕?と?君?の肩をそっと揺すって長い眠りか
ら目覚めさせ、2004年の世界を、旧発掘現場を越えて進み始める。夜。夜
だ。陳腐だな、と思いながら、満天の星空に胸をときめかす。年老いた僕と君
も、僕と君の後を微笑みながらついて行く。暫く歩き続けると、海水の干上が
った複雑に入り組んでいる峡谷が

目に飛び込んでくる。僕は君と手を繋ぎ、君が安全に降りられるように手助け
する、どの位の日にちが経ち、僕達は性的快楽を嗜んだだろう、ようやく峡谷
を登り切った先には、広大な草原が広がっていて、遥か彼方に花畑があり、其
処まで歩いていくと、僕達だけの墓があった。その向こうには東京の街並みが
あり、本幌の街並みがあった。さらに向こうには、僕と君の故郷があった。僕
と君はようやくこの世界の仕組みを知り、また、「生まれる前から君/貴方、
が好きでした、」と同時に呟くと、涙と笑顔が零れて、最後という観念の無い
キスをした。そして僕達は?一時的に?別れた。

地球は丸い。宇宙も丸い。僕達は宇宙の内側をぐるぐると回っているに過ぎ
ない。そしてこの宇宙を含む世界は出口と入口が存在せず、ドーナツ型をして
おり、その世界の中には、この地球と同じような自然が備わっている。そして
たった一人だけ、?神様?と人々に言われてきた/いる、?生命体?は、広大
無辺な葡萄農園を営んでいる。僕と君は嘗て、其処で働いていた記憶を?生ま
れつき?持っている。そして.なくとも僕は、「生まれる前(この人生と同じ
人生の最後)からずっと、ずっと君が好きだった」。











裏面



世界の裏側を歩いている。携帯電話の「天気報知」では、この.は、決して
止むことのない.だという。僕は.羽を着ながら世界の裏側を歩いている、す
ると突然、蝸牛を思わず踏んづけてしまった。蝸牛に「大丈夫かい?」と訊く
と、彼は、「僕の殻、どうしてくれるんだよ!?」と激怒していた。僕は何度
も何度も心から彼に謝罪したが、弁償するか、直してくれるまで絶対に許さな
い、と言われた。僕は仕方なく、蝸牛を自分の右肩に乗せ、砕け散った殻を丁


寧に拾い集め、寂れた商店街にやって来ると、文房具屋の中へ入り、瞬間接着
剤を購入し、その場で蝸牛の殻の修復にあたった、のだが、僕の学校での美術、
技術の成績は共に「1」だったので、上手く元の形に直せるはずがなかった。
その様子を見ていた蝸牛は、「弁償してもらう」ときっぱりと半ば脅迫的に僕
を責めたので、「君達蝸牛の殻なんて、一体何処に売っているんだい?」と不
満を込めた口調で訊いてみると、「僕が道案内してあげるから僕の言った通り
に、進むんだ」と答えた。

蝸牛に道を教わりながら商店街の裏道をどんどん奥へ進んでいくと、其処に
は摩訶不思議な外観の店屋があった。僕は.し不安と戸惑いを感じながらその