小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

MARUYA-MAGIC

INDEX|52ページ/52ページ|

前のページ
 

店屋の中へと入った。その店の中には無数の、.に様々な種類の時計が掛けら
れ、置かれてあった。蝸牛によるとどうやらそれら時計は、「売り物」ではな
いらしいのだ。「じゃあ、此処では何を売っている店屋なのさ?」と蝸牛に訊
くと、彼はこう答えた。「?お金?を売っている店さ」。そして不敵な笑みを
浮かべた

僕は硝子のカウンターまで歩いて行くと、そのカウンター兼ケースの中には、
なんと大量の一万円本の束が綺麗に並べられていた。僕は、「…す、すごい大
金だ…」と無意識に独り言を呟き、それに視線が釘付けになっていた。すると
右肩の蝸牛は、「おーい、店長、店長ー」と店の奥に向かって叫ぶと、暫くし
て、僕よりも大きな蝸牛がするするするとやって来た。「やぁ、お前さんかい、
久し振りだな、ところで今日は何の用事で此処へ来た?」と店長らしき大きな
蝸牛は訊くと、小さな蝸牛は今までの経緯を詳細に語った。「成る程、すると
お前の殻を弁償する為に、この人間の?命?の代価が欲しい、ということか」
と言うと、「ちょっと待っていろ」と言い残し、一旦店の奥に下がり、.しし
て戻ってくると、聴診器をぶら下げていて、「今からお前さんの命、いや、?
寿命?の値段を計ってみるから」と言って、僕の心臓にそれを当てて、「ふむ
ふむ」と独りでに呟いた。「で、?新しい殻?を買う為には、コイツの寿命を
幾ら?売れば?いいんだい?」と小さな蝸牛はその返答が待ち切れない、とい
った様子で店長に訊いてみた。すると店長は、「丁度一年分だな、お金に直す
と三千万円、といったところかな、良かったな、人間よ、もし、コイツを誤っ
て踏み殺していたら、三千万円どころじゃ済まなかったぞ、おそらくきっと、
残りの寿命の半分はコイツの遺族から請求されたに違いないから」と言い、硝
子のカウンターの扉を開け、三千万円分の本束を僕に差し出した。「確かにお
前の一年分の寿命は受け取ったぞ、さぁ、その金でソイツの新しい?家?を買
ってやることだな」とにんまりと笑い、店の奥へ引っ込んだきり、二度と出て
こなかった。結局何が何だか分からないまま、店を出ると、右肩の蝸牛は、「さ


ぁ、次は?蝸牛専用?の、建設業社へ行って、僕の気に入った殻を買ってもら
うぞ」と微笑んだ。











ピュア



東京の中心部に隔絶された森の庭で、僕は君に対して貪欲な野獣になる。い
つも脳裏に浮かぶものは君の最も柔らかい場所で、僕はそこの温もりによって
生きたり死んだりしている変温動物です。君に対してこんな感情を抱くのは罪
だろうか? 誰が僕を裁き、誰が僕を処刑するのだろうか? 僕達だけの世界
の閉塞した空間の中で、僕は君の慈悲を跳ね除け、その君の最も柔らかい場所
の肉を貪り、喰う、喰う。君を殺したいよ、君を殺したい位愛しているんだよ。
だから君のレバーを早く喰わせてくれ。

僕と君は大都会を見下ろしているよ。そして街の震えに頭痛がして、君は僕
にされるがままになる。「僕は君の何もかもが嫌なんだよ、その艶やかな皮膚
も、小さな乳房も、燃えている黒き森も、そしてその中の泉、の底の二つの曲
がり道、僕のカイワレダイコンではなく、僕自身が、君の仔共になりたい。そ
して、『ママ、ママ』と甘えていたいんだ、君はきっと僕に初めて愛情を込め
て優しく接してくれる。そして殺すんだ、殺したい程泣いて君の乳房を濡らす
んだ、それが僕の最大の願いなんだ。君は、ただ?僕?を我が子だと一生思い
続けるのだけれど」

過去にも君と同じように深く愛した女がいてね、そいつは末当に愛されてい
るニンゲンに殺されたんだ。そのニンゲンはね、…、これ以上昔話を語るのは
止めておくよ。何故って、もしそのニンゲンが僕等に危害を加えたら以前と同
じ人生を辿っちまうだろ?この人生は選択肢のある程度限られているボード
ゲームだよね。僕は車の免許なんて持っていないし、一生持たないつもりだけ
れど、君はいつか僕の興味から消え去っていくだろう、僕は末当にヒトを愛す
る能力が生まれつき欠落している欠陥人間さ。

今日もこの大都会で顔馴染みのニンゲンと会わなくちゃならない。そんな生
活には心底うんざりさ。僕は時々彼らを、僕の視界に映る人間達?だけ?を殺
したくなる、セイシンカンテイ?、ろーるしゃっはてすと?、いらねぇ!!!!
俺はキチガイなんだ。取調.も隔離病棟も全てマシンガンでぶっ壊したい。冷


静を保っていられない。アメが降れば僕達はきっと?森?の中へカエッテいく
だろう。

ただ空色の.が降り注ぐ東京の六月に、君と裏通りから下町へ向かって安い
部屋を探す。僕達は互いの心の肉を喰って、なんとか平常心を保っていられる
毎日を過ごしているのです。真夜中、野良猫が車道を時速八十キロで走りぬけ
ていく中、僕達は冷たい.に体温を奪われて死にそうな具.の悪さを、なんと
か君と体を絡ませて生きている。烏が、死神の細胞の一つであることを悟り、
君だけはなんとか生かしてやりたいと、僕の体温を君の体に移動させる。僅か
に僕の温もりの方が暖かいから。

君は肺.を起こし、死にました。僕は大王の墓のように大きな東京の中心部に
隔絶された森の庭の中に、君の死体を埋めました。世界は、青空は、夏真っ盛
りでした。この胸には、死ぬ前に君がくれた冷たい体温が残っています。僕の
中で、青く、暗い.が降り続いています。僕はこの大都会に対して何も復讐す
ることができなかったし、両手で持ち上げることすらできませんでした。僕の
恋心は純粋そのものでした。君は一人で大都会を見下ろしているだろう。そし
て街の震えに吐き気がして、君は君にされるままになる。「ワタシハアナタノ
ナニモカモガスキナノヨ」、僕はそのハッピーエンドに嫌悪を感じ、君の遺体
を掘り起こして、腐ったレバーを焼いて食べたよ。焼いて食べたよ。