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MARUYA-MAGIC

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く最中に何度も何度もそれをより明瞭にさせた。貴女とメールをすることも話
をすることも、会いに行くことも禁止されていた。貴女が上流階級の人間達と
比べて無知であり、しかしそれらの人間達よりも純粋で、微塵たりともこの社
会の身分制度に対して、それが自分の全うしなければならない人生だと、深く
認識していた。

貴女が父親の指示によって、故郷の孤児院に連れ戻されたのを唯一の理解者
である叔父から聞きつけると、怒りは頂点に達して、家族の前で父親を思いっ
切りぶん殴った。自分の考えが他者に害を加えないというポリシーを持ってい
た父親の心の中のアイデンティティーがようやく作動したのだろう、父親は絨
毯の上に倒れたまま、ずっと号泣していた。この家には二度と帰ってこられな
いなと思い、荷物などを持たずに、裸一貫で家を出た。

両親や妹達から誕生日プレゼントとして貰った装飾品を質屋で売り、その金
で貴女のいる国へ汽車で向かった。微風のような罪悪感が心をざらざらと撫で
たけど、気持ちは貴女に会いたい気持ちでいっぱいだった。

しかしその国は領地が広大であった、更に無数の酪農地帯が存在しており、
貴女を見つけることができないと思われた。臨時アルバイトや日雇いの仕事等
をこなして、休日は必ず取り、様々な酪農家の元へ出向いたが、貴女の言葉ど
ころか、末当にこの国にいるのかどうかも人々によってまちまちだった、半年
が過ぎ、貴女と出会った季節になると、あの時からソフトクリームを無性に食
べたくなる。今日も見つからなかったかと、バスに乗り込み、自宅のアパート
に向かおうとして窓硝子から外を見てみるとなんと、貴女がソフトクリーム屋
さんの中で働いているのを発見した。直ぐさまバスを降りると、硝子扉が完全


に開ける前に身を捩らせ入り、貴女へ自分の気持ちを伝えると貴女は涙を流し
て承諾した。











KAIWA



.、何のことについて言っているの? だから.のことについて、あぁ、こ
の夜の森の上から落ちているものね、そうだよ、不思議ね、不思議だね、今重
力のことについて考えていたでしょ? 前から思ってたけど君の言い回しには
独特なものがあるね、そう、喩えていうならば、喩えて言うならば? 喩えて
言うならば…、小説の女の子みたいな? そう、自分をまだ女の子と思ってい
るところとか…、思っているところとか? …うーん、私達一緒の土になった
のよ? よく思い出せないけれど、生前の貴方は素敵だった気がするわ、私の
後を追って自殺したところとか…、「ロミオと…、逆よ、私達の場.、何もか
もが逆だったのよ、何が何もかも逆だったんだよ、しかもその何が不服だって
言うんだよ、忘れちゃったわ、ところで、私達の会話って、夫婦漫才みたいじ
ゃない? 私がボケで貴方がツッコミ、何話を逸らしてんだよ? ねぇ、私達
これからもずっと二人で一緒にいられるのかしら?、聞いてんのか!? 貴方
と同じ耳で聞いてるわよ、今までも、そしてこれからも、それってもしかして
僕達両性具有の性質も持っているということかい? ということは子供も産む
ことができる…、生前も生まれてからずっと一緒にいられたら良かったわね…、
だから俺の話聞いてる? そしたらでも神様にこんな素敵なプレゼントを貰え
なかったかもしれないわね…、…、…私の言っていることおかしい? …おか
しくないね、ならキスして、唇が一つしかないのにどうやってするんだよ? 貴
方生前より大胆になったわね、まだ何もしてないよ!! っていうか君は生前
よりボケに鋭さが更に増したね、末当に僕達結婚して夫婦漫才師になれたかも
ね、百%、SO、かもね!!

ねぇ、何? あれから幾つの時が流れたのかしら、あれから、って何時のこ
と? 貴方が両性具有なんたらかんたら言っていた時のこと、ついさっきじゃ
ないか、いいえ、私にはあれから何億年も何十億年も何百億年も経った気がす
るの、何言ってるんだよ、喩え何百億年も経っていたとしたら、僕達は、とっ
くに「土」なんかじゃないか、匂いを嗅いでご覧よ、普通に全然土の匂いがす
るじゃないか、宇宙の底にも森は存在するの、私達はきっと、その森の中の一


区域の地面の土なのよ、ほらさっきから聞こえてたけど周りで生前報われなか
った恋人達の愛し.う甘い声が聞こえてくるじゃない、あっ、欲情してきた、
これは夫婦漫才なんかしてる場.じゃないわ、私達もさっさと深く深く愛し.
いましょう、さぁ、射精して、そ、そんなこと突然言われて、ハイ、ドピュ、
ってできるわけないだろう?、私のこと末当に愛していないのね、何言ってる
んだよ? 愛の数だけセックスがあるのは分かるけど時々その観念がズレてい
るんじゃないかと思う時があるんだ、要は愛と欲情は別物だってことさ、僕は
愛を含んだセックスじゃないとしないことに決めているんだ、その愛とは勿論、
子供を作る程のものじゃなきゃね、ZZZ…、おい!! あんた人が眠ってい
るのに夢の中で大声出すのやめてくれる? お前が「さぁ、射精して」なんか
言うから直ぐさまそれをできない理由を真面目に説明していたのに、眠ってい
ちゃあ骨折り損のくたびれもうけだよなぁ!? 貴方ややこしい諺知っている
のね、それとたかが恋人が転た寝してただけで怒るなんて短気ね、思いっ切り
「ZZZ…」鼾掻いてただろ!! しかも「骨折り損のくたびれもうけ」なん
て、一般常識だしね!! お前がそこまで無知だったなんて知らなかった
よ!!、 もそんな私の為に死んでくれたんでしょう? …そ、それはそうだ
けど…、ならずっと私の為に尽くしなさい、いい加減にしろ!!











愛おしい



過去の時間の地鳴りが聞こえる、それをも超えるスピードで翼を広げて、耐
えられず一人、また一人と天使達の豊潤な肉体が液体のように溶けていく。貴
女には純愛を、貴女からは冷静さを、それぞれ与え/る/られる。白濁した.
は、天使達の堕落の終未、誰も外出しようとしない、皆天使達を嘆き悲しんで
いるのだ。そんな中貴女は赤い傘を差して煉瓦造りの大都市の裏通りの坂を
時々水溜まりで不快な思いをしながら下りていく。この作品の書き手のいるア
パートに向かって、途中果物屋のシャッターを何度も叩き、やっとのことで店
主の顔馴染みのおばさんに開けてもらうと、林檎やら檸檬やら葡萄やら皿に盛
り付けた時に色.いの良い果物を両手で抱えきれないぐらいの茶色い紙袋に詰
め込んで、いつものようにいつもの場所で躓いて、果物をばらまき、衣服が汚
れてしまう。その衣服はいつも高級なものばかりだから、洗濯機じゃなくてク
リーニング屋に出すと言ってきかない。結局アパートに着くのはそれから二時


間後で、予め二時間前からぶかぶかのセーターや貴女の為に買っておいたジー
ンズや、ふかふかのタオルを用意しておく。ようやく貴女はアパートに着き、
チャイムを鳴らし、玄関のドアを開けると、早速「代わりに着替えられるもの、
貸して」と白濁した.の匂いを狭い空間で充満させながら表情は清々しい。