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MARUYA-MAGIC

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ワイノハ、シンデモカノジョノカナシイカオヲワスレルコトガデキナイカラ?

躁鬱状態の躁状態の彼は彼女の欠点にばかり気が向いて、糞味噌に貶し続け
た。それと、両親から言われた病気持ちの相手とは交際するな、という氷の刃
の言葉が彼の心を貫いて抜けなく苦しんでいた。全て含めてそれが「愛」だと
いうことを彼は知っていた。愛しい人の元からすぐにでも接点を無くしたいと
思っていた。でも彼は躊躇い続け、ついには愛しい人とその想い人が結ばれた
現.を目の当たりにし、涙を流し続けた。それは島国を越えて、海上を拡がっ
ていって世界を満たし、地球人を溺死させた。愛しい人もその想い人も、みん
な、彼の悲しみによって殺された。

夜が、明けてくるにつれて、彼はみるみる溶けていく、そうして一冊のノー
トの影となり、太陽が沈むまで身動きすることができない。ただ言い様のない
悲しみによる涙がノートと机と万年筆を温く濡らすだけだ。生まれ変わった夜
は彼にだけ、優しく、その体の一部分を渡す、そうしてまた、彼の影の世界の
テリトリーが拡がっていく、影の表面の皮膚は、宇宙の冷たさによって壊死し
ているが、内側は、地球の心臓の温度で何ともない、痛みと平安を同じ分だけ


感じ、彼は無限の輪廻を繰り返す。宇宙が消え去ってもなお、己の罪を消し去
ることができずに、あの愛しい人を想い続ける罰を永遠に受け続け、いつまで
経っても彼女から、心の内を訊く恐怖に苛まれるのだ。二度目の永遠も三度目
の永遠も何度目の永遠でも、彼は最終的に愛する人の為の詩を書き、そして心
が崩壊するのだ。











大きな森の小さな喫茶店



小説家達の住む街から東へ暫く向かった所に大きな森があり、その奥に君が
一人で営んでいる小さな喫茶店がある。年中休まずに営業していて、毎日のよ
うにその喫茶店へ行く。その森は古来、人々が神隠しにあったりする神聖でい
わくつきの場所で街では「立ち入り禁止」と言われているのであるが、どうし
てそんな所に喫茶店をつくったのかというと、君をたった一人で育てた祖父が、
その原始的で苔の生い茂る森の奥深くに建てた神社の神主さんで、神隠しにあ
った森の中を彷徨う人々の姿を具現化した魂を客める為だそうだ。

現在は君の祖父は亡くなってしまっている、君は喫茶店のマスターである。
君に会いに行く前に、小説家達の住む街の隣にある、小説家を目指す者達の街
から毎日神社を掃除する仕事をやりに来ている。その森は植物の成長が異常に
早く、特に苔の成長が早く、一日でも放っておくとすぐに神社は苔に飲み込ま
れてしまう。給料は君が払ってくれる。

今日もまた朝四時から、太陽が目覚め背伸びする直前から、風が冷たく、僅
かに吐く息が白い中、自転車で森の入り口まで行く。そして穴の開いたフェン
スを通り抜けて、自転車を押して紅葉しきった落ち葉の絨毯を踏みしめながら
神社へ向かう。

神社へ着くと、早速冷たく生した苔を鳥居や建物の外壁から取り払う。汗っ
かきなのですぐに服がびしょ濡れになりもの凄く寒い思いをする。着替えはい
つも掃除が終わってからする。苔を払い終わると、気温も.し暖かくなってき
て一安心するが不快感は拭えない、神社の中で、タオルで全身の汗を拭い、新
しい服に着替えると、最後にバッグから今朝小説家の街の朝市で買ってきたお
供え物を供える。そして暫く目を瞑って祈り続ける。目を開けると、いつも爽
やかで心地良い気持ちになる。それは、晴れの日でも、曇りの日でも、.の日


でも、きっと雪の日でもだ。外に出るとその気持ちはもっと膨らんで自転車を
押して君のいる喫茶店へと一刻も早く向かいたい気持ちも同時に膨らむ。

銀色に輝く秋の木漏れ日を浴びながら元来た道とは違う道を歩き続けていく
と、ある時ケーキやコーヒーの美味しそうな匂いが生温くなった風に溶け込ん
でおでこや頬を優しく撫でる。君の喫茶店からの匂いだ。自然と駆け足になり、
頭の中はその匂いと君の笑顔でいっぱいになる。君の喫茶店に着き、中を覗い
てみると、具現化された魂の人々で沢山だった。扉を開けて入ると、暖房が.
し効いており、石油の匂いが微かにした、君はお実さんに出す食べ物や飲み物
で、てんてこ舞いで、扉の鈴が鳴って反射的に、「いらっしゃいませー」、と
叫んで笑顔でこちらをちらりと見ると、一瞬間があった後、更に笑顔になって、
首を.し傾け真っ直ぐな黒髪を一末一末垂直に垂らした。

モーニングタイムが終わり、実が誰もいなくなると、カウンターに座りブラ
ンチを取り食後のコーヒーを飲みながら君と楽しくお喋りをした。まるでこの
店に来る前、ケーキとコーヒーの匂いがした時から時間の流れが止まっている
かのような、真っ白な光が窓から幾筋も差し込んで、永遠にこの午前中が続く
ようだった。

午後からは出版社での雑用のアルバイトがあるので正午を過ぎる前に帰ろう
とすると、君は奥の調理場から焼きたてのクッキーを可愛らしい袋に沢山入れ
てくれて持たせてくれた。午後休憩時間に食べるよ、と言うと、また明日ね、
と満面の笑みで外まで見送ってくれて、自転車を押して暫く進み振り返ると、
まだその場に立っており、可愛らしく手を振ってくれていた。











輝かしい人生の汚点



この社会に塗り固められ埋め込まれた身分制度は、人間として生きる以上、
必ず属さなければならないものであり、互いが同じ悩みを抱えて生きてきて、
ある時出会い、身分違いの貴女を愛するようになり、それが両親や兄弟にばれ
てしまい、猛反対された。まだ自立する力が無かったので、いや、自立する力
があるかないかの前に、そのようなことは一族の汚点になると、頭が冷えるま
で高校には行くな、と父親に叱咤された。

父親はエリート官僚、母親は財閥の令嬢、二人の妹は生まれた時から既に婚
約者がいた。そんなもんだから、挙げ句の果てに親戚のことを細々と思い出す


だけで吐き気がする。貴女はこの都市の中心街の外れの小さなソフトクリーム
屋さんで働いていた、毎日黒塗りの外国車で送迎をしてもらっているのだが、
ある日、車が故障したと運転手は頭を下げ、代わりにタクシーを呼び、暫く進
んだ時に、ふとした気持ちで、「ここから歩いて行く」と本束を置いて生まれ
て初めて自分の足で歩いて通学をした、視界にはこれまで見たこともないよう
な景色が広がっており、もっと散策していたいという気持ちが強くなって、携
帯電話から高校に、今日は休みます、という旨の嘘を報告し、下層民の日常に
自分が.しずつ溶け込んできたような気がした。

色んな所を行ったり来たりしてふいに体が汗ばんで疲れてくると、偶然目の
前にソフトクリーム屋があるのを発見し、一つ買おうと向かい、同じ歳ぐらい
の安い化粧を施した女の子に注文をし、上手く綺麗にコーンの上にクリームを
巻き、視線を.わせて笑顔で微笑むと、一目惚れをしてしまった。その時の鮮
明な記憶は大きすぎる自.から出られない間、月や星を、頭上を通り過ぎて行