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MARUYA-MAGIC

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たれてあったから吃驚したんだけど、僕はふと目を覚ますと、まぁ狭苦しいア
パートの部屋のベッドの中に君を抱き締めながらいたんだけど、外は真っ暗だ
ったわけ。君を抱っこしながら窓の外を眺めるとそれはそれは神様の心臓の白
血球は無数に輝いていたよ。その時やっぱり思ったわけさ、僕は君無しでも生
きていかなければならないな、僕が詩作によってこの世界を変えなきゃいけな
いな、ってね。具体的にどういうことなのかというと、僕の詩を読んで、全人
類の知能を一%でもいいから上げたいな、って、村上春樹氏なんかに負けてい
られないな、って、文学の日末代表は僕だ、って、ちょっと思い込みもいいと
ころだよね? って一人でに思ったよ、……。

「僕、の喪失感の湖は君への想いで毎日満たされ、毎日排水溝に流されて行
く。僕は毎日詩を書き、書けなければ死にそうになる。今日のこの詩だって(詩


と呼べるものかな?)、昨日のノルマの分だし、これを書こうと決心するまで
まさにliving deadだったんだぜ? 僕は…。

ふと冷たいものが鼻の上に落ちて目が覚めると、無数の.の星が降ってきた。
僕はキラキラと輝くそれらを暫く見つめた後、布団から起き上がってさ、私服
に着替えてさ、「夢見の野」を去ろうとしたらさ、瞼を瞑って、自分とのこれ
からの.来について色々と空想したよ。そしてそのままの状態で、「おい! ?
馬鹿?山!! これからも詩人、頑張れよ!!」って空に向かって叫んだら、
「僕、はまた吃驚して、「…お、おう!!」って.しどもりながら返事を返し
てくれた。』それでもやっぱり君を想い続けるのだろう。











黒船沈没、偵察機墜落、衛星故障、維新、星空



訳あって、黒船が沈没したので、というより、日末にやって来ようとする外
国船、外国船全てが、訳あって沈没していったので、日末はずっと閉ざされた
国で、現在に至ります…。とちょんまげ頭の社会科の先生は僕達に教えてくれ
ました。すると僕のクラスメイトの一人がこんなことを言いました。先生、よ
く上空に、鉄の鳥が飛んでいますが、あれらは外国からの偵察機か何かではな
いのですか? と。すると先生は、日末上空を飛んでいるのは君の言う通り、
偵察機です。まぁ、飛行機と言っても差し支えありませんね。すると僕の親友
の一人が、先生、その、飛行機というものが.だにこの国へ攻め込んで来ない
のは何故ですか? と訊きました。すると先生は、やはりその理由にもちゃん
と?訳?があって、上空で墜落してしまうのです。ですから、私達の日末は江
戸時代からずっと外界から閉ざされた国で、現在も江戸時代が続いている、と
いうわけです、と答えた。すると僕にもある疑問が浮かんできて、思わず手を
挙げて先生に質問をぶつけてみました。先生、僕は天体観測が趣味で、中国と
オランダとだけ貿易をしている長崎の出島まで行って買ってもらった望遠鏡で
毎夜夜空を眺めているのですが、時々、星では無い宇宙に浮かぶ人工的な光を
放つ物体を発見したりするのですが、あれはやはり出島で購入した科学雑誌に
載っていた衛星というものなのですか? もしそうならば、僕達の日末のこと
が丸見えなのではないでしょうか? すると先生はこう言いました。君の言っ
た衛星というものは、確かに宇宙空間に浮かび、気象情報や敵国の動向を監視
する為に地上から地球の外に打ち上げられたものです。しかし、私もオランダ


や中国から輸入された文献を読んでみたことがあるのですが、その衛星でさえ
も、何故か訳あって、私達の国を映そうとすると、必ずそれは故障してしまう
らしいのです。ですから今までのあなた達の質問を総括して結論を出すと、私
達の国日末は、神の力によって守られている神聖な国なのです。ですから、何
物も私達の国に脅威を齎す存在は無いのです。と、そう言い終えると、先生は
誇らしい笑みを浮かべました。

授業が終わり、寺子屋の下校時間になると、僕は今日の授業で社会科の先生
で僕達に話してくれたことを頭の中で何度も何度も繰り返し思い出していまし
た。帰り道、江戸城の近くを通った時に、突然、刀やら鉄砲を持った何万人と
いう大多数の老若男女達が門番の武士達を殺し、江戸城の.地内に乗り込んで
いくのを見ました。辺りは騒然となり、僕はその後をついて行くと、将軍様の
いらっしゃる天守閣へ彼らは向かっているらしく、次々と道を塞ぐ侍達を殺し
て行きました。そして僕が天守閣に着く頃には、将軍様を無数の人間達が取り
囲んでいて、早く開国しろ、さもないとお前を殺してしまうぞ、とこの集団の
首領らしき大人の男性はいいました。将軍様は腰を抜かし、ぶるぶると震えて
いましたが、その返答を返す前に、せっかちな人間の手によっていとも簡単に
殺されてしまいました。

その日を境に、日末は世界中に向けて開国され、世界中から船がやって来た
り、飛行機がやって来たり、衛星も僕達の国を監視するようになり、約四百年
続いた江戸幕府は滅亡しました。人々はちょんまげを止めて、ざんぎり頭とな
り、携帯電話を持つようになり、インターネットで世界中の人々達と交流を深
めるようになりました。僕は学校制度によって新しく設立された国立大学に入
学し、最先端の天文学の勉強を終了し、天文台で働くようになりました。日末
は瞬く間に変わってしまいましたが、この星空は昔のままでした。











ノルウェイの森奥深くの古五戸



ノルウェイの森には君の匂いが漂っている。川のせせらぎが何処かから聞こ
えてきて、いつも春の暖かさの太陽の光が木々の濃い葉に濾過されて僕に降り
注ぐ。僕は木の根元に座り込み、音楽プレーヤーで君のデビュー曲を聴いてい
る。そして自分の処女詩集を読んでいる。僕はまだ君のいる、この森奥深くの
古五戸のある場所を知らない。小鳥の囀りが北欧の森をさらに色濃くする。雌


鹿が僕の方へやって来て、頬を舐めれば、僕の心は.しだけ潤う。僕は自分の
詩集をしまい、君の曲が僕の頭の中でその古五戸の在り処を体の向きを、歩く
毎に絶えず変えて、進行方向を示す。

君の匂いが森の奥深くへ進んでいくにつれて、次第に強くなってくる。見慣
れない昆虫達がやはり僕達人間と同じように、たった一人の運命の相手を見つ
け、子孫を残す為に生きている。彼らにとってはそれが束の間の生涯最大の至
福の一時であり、僕達には彼ら雄と雌の間に愛が育まれた軌跡をじっくりと考
察すれば、それを垣間見ることができる知能を持っている、末能のままに生き
られないのは人間達だけである。誰にでも理解できることだが、人間には彼ら
と比較してあまりに長い命を神様から授かり、子孫を残すことだけが人生では
ない、という考えが生み出された。もし運命の相手と死ぬ間際になってようや
く会える、という仕組みの人生ならば、僕達は間違いなく、彼らと同じように、
子孫を残すという最大の宿命の為に懸命に生き続けるだろう。そしてその相手
と結ばれ、愛の具現化として新たな自分達の子孫が生まれてくる、というだけ