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MARUYA-MAGIC

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今から四年後、二十八歳の僕は何をしているだろう? 現在四十二歳の僕には
まるで見当が付かない、アメリカ.衆国の何処かで、森を買って毎日、毎日飽
きるほどに散歩しているのだろうか? 定年まであと十八年、僕の子供は今年
やっと生まれたばかりだから、定年後も何処かで仕事をしなくちゃならない。
でもそんなことよりも大事なことは今から四年後、二十八歳の僕は何をしてい
るのか? ということだ。もしかしたら何かの病気に罹ってとっくに死んでい
るかもしれない。不安の種は尽きることを知らない。でも、僕はこの頃、年齢
的なこともあるのかもしれないが、妙に感傷深くなったような気がする。この
詩を書いている今も、僕は涙の海に身を揺蕩わせながら、世の中のことを、自
分の現在状況と近い将来のことを想い、心が干乾びそうな終未観に英気を吸い
取られている。

今の奥さんには十分満足している、尊敬の念を抱くくらい。しかし、子供─
息子なのだが─が出場する.雲の下、時化た四年後の幼稚園の運動会を想像す
ると僕の心は堪らなく.雲に包まれ、陰鬱な気持ちになる。四年後の為にも、
やはり早く「離婚」の手続きを済ませた方がいいのだろうか?

やはり僕は独りが好きなのだ、これまたアメリカの何処かの州の、晴れた空
の下、午後の冷たい日差しを浴びながらログハウスの前で大きな伸びをする…。

死体が流れる小川なんて存在しそうにもないのだが、僕は次々と流れては去
っていく死体をぼんやりと見つめていて、僕はその上に乗ってどこまでも旅を


したい。興奮と哀愁に満ちた冒険をするのだ!! 他人にそんなことを言った
ら変人扱いされるので此処に記しておくだけにしておくが─勿論、罵倒や避難
が怖かったら物書きなどやっていけないが─四十二歳違いの一人息子にいつか
こっそりとこの詩の、いや僕の末当の気持ちを分かってくれたらこれ以上嬉し
いことはない。息子には、「僕の父親は変人でした」とぐらい言ってのけられ
る、度胸のある、大きな人間に育ってほしいと思う。その頃には父さんはもう、
「この世界」に属していないんだよ。孤独が好きだからね。

僕はとある偉大な功績を残した詩人に失望するだろう。偉大なその他諸々の
人々に失望するだろう。だから僕はいくら相手方の偉人が僕に是非会いたいと
言って来ても、.際にそう会っても、尊敬の眼差しを地面に傾けることになる
だろう。「所詮、『偉人』とはそのような者だったのだな」と、僕は偉人より
も「異人」だと自負しているので、そんじゃ其処らの天才には頑なだと思われ
がちな心は変わらないだろう。僕の心は僕自身の成長によってしか寛大で、柔
軟にはならないのだ。

再び話題は戻るが、四年後二十八歳の僕と、息子が成人する二十年後の四四
歳の僕、どちらの年齢の自分の将来も、ましてや息子の将来など、毛頭分から
ない。人間失格、父親失格だね。僕には自分の命に代えてまで書いた詩を売る
勇気など一つもない。僕は高卒で馬鹿丸出しだし、顔も自分が思っているより
良くない、奥さんが二重の美人だったので息子も二重として生まれてきたから
良かったが、僕の遺伝子のせいで僕のせいで頭が悪かったらどう奥さんに謝れ
ばいいか分からない。顔の良い不良など今時モテないのだ。息子よ、もし父さ
んが今これを書いている四十二歳になったら、よく自分の四年後の二十八歳の
ことを想像し、考えてみなさい。決して父さんのような人間にはならないよう
に。その頃、きっと父さんはやっぱり冒頭で述べたように、大きな森を買って、
其処で静かに執筆していたいんだ。











空想科学詩人



.来は初めから決まっているもので、決して途中から変えられるものではな
いと思っていた今まで。そんなぎすぎすした生活の中で、これ以上生きていく
のは無理だと悟った今まで。けれど僕は誰かに頼るような真似はしたくなかっ
た。定められた.来をぶっ壊す為には、時間の観念の基幹となっている宇宙の


膨張を止めなければならない。僕の心臓のように膨張と収縮を瞬時に繰り返す
宇宙を破壊するまではしないとしても、善良な宇宙にもし人間のような意思と
思考があるならば、僕は彼の癌細胞であるブラックホールを取り除いてあげる
代わりに、「この世界」ではなく、「何処か違う世界」に移ってくれないかい、
とお願いするであろう。そうすればきっと彼は快く承諾してくれ、「この世界」
は、「無」、と化するだろう。当然僕が居るのだから、「有」なのだけれど。

僕は海の見える街並みを石の塔から見下ろし、その考えを「止める」と、螺
旋階段を下りて、祖父の耕している畑へ向かった。

祖父は相変わらず、汗水垂らして畑に鍬を入れていた。僕は一.「詩人」な
のだが、祖父がもし死んでしまったら、今の生活を維持していくことは難しく
なるかもしれない。祖父は僕の顔を見てにっこりと微笑むと、ズボンのポケッ
トから僕宛に届いたという手紙を取り出した。

僕は家の藁を置いてある屋根裏でその手紙を開いてみた。それはとある物理
学者からの手紙であった。その内容とは次のようなものであった、私と貴方の
二人で、この世界を変えませんか? 以下云々…、僕はふと気が付いたら、「僕」
と「世界」しか存在しない世界に立っていた。何故そんなことが分かるのかと
言えば、僕が先程石の塔で考えていた世界に瓜二つだったからだ、寧ろ先程想
像した世界より、より「世界」らしく見えたし、思えた。すると「僕」の生み
出した先程の手紙の主である、「物理学者」が目の前に現れた。そして「僕等」
にこう言った、此処はね、君の「詩作品」の世界だよ、この世界の外には無数
の宇宙を含んだ「世界」があり、その「世界」を含んだ無数の【世界】があり
…、それが永遠に続くんだよ、そして「それ」は、神様の頭の中に「現.的に
存在」している。神様は僕達人間を可愛い動物だなぁ、と思ってくれているん
だよ。それ以上何も望まない─、っていうのが「普通の人間達」の考えだけれ
ど、君や僕「達」は違うよね? 勿論その神様の「存在する」世界もこの「君」
の「詩作品」の世界と同じく…、いや、正直に答えるよ、「世界」は君の空想
世界と同じく、無限に広がっていて、大小関係なく、神様の外には「神様」が
いて、それがやっぱり無限に続くんだよね。君はそれを「詩」という媒体を利
用して考え出した、そして僕はその設計図を使って、現.的に科学として発達
させる。手紙に書いたことの末当の意味は、ほら、此処にお金があるだろう?
つまり、君の「詩」の著作権を僕にこのお金で譲ってくれないか? というこ
とだ。君にはたった一人の身寄りのお祖父さんがいる、そしてこれから先の.
来を生きていく為には、やはり「お金」が要る。

僕は途端に意識が現.へ戻った。そしてその手紙を丁寧に折って、紙飛行機
を作り、窓から勢い良く、すーっ、と「外」へ飛ばした。僕は無意識に思った。
もっと「詩」を書こう。もっともっと詩集を出してもらえるように頑張ろう、


そうすればきっと、祖父に畑仕事を引退させてあげることもできるし、生活が