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MARUYA-MAGIC

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ンに捨てた。後ろを振り返ると、丁度放火魔が、ゴミステーションに火を放ち、
.上していた。しかし僕の中に染み付いた理論は、二度と消えることはなさそ
うだった。野良犬が.を見て吠え、風が燃え滓の匂いを運んで来た。明日は燃
えないゴミの日なのだろう。だがこの地区は前日からゴミを出してもいい場所
なのだと、特別な.等感を抱きながら。

結局通報はしなかった。できなかった、というのが末当の言い訳なのかもし
れない。ガリレオや、ニュートンやアインシュタインの顔が僕の脳裏に心象と
して浮かび、闇に食い込んで消えていった。僕はこれから何をしたいのか分か
らなかった。とある作家はこう言った。?知識を蓄える前に、まず、精神を成
熟させよ?と。僕の精神はまだ熟していなかった。そして先程の三大物理学偉
人は、精神が熟した、を通り過ぎて、腐敗していたように僕には思えた。おそ
らく僕はこれからも次の人生でも、偉大なる物理学者にはなれないだろう。

僕は電話を持っていなかった、そしてお金も持っていなかった。持っていた
のは学会の会場までの電車賃と、レポートだけであった。僕は夜空を見上げた。
其処には闇が水溜り状に広がっていた。女のすすり泣きが聞こえる、きっと僕
は二週間以内に餓死してしまうだろう。僕は二人の女とすれ違った。二人の女
は、二人とも頬に僕にとって丁度良い黒子が付いていた。とある作家はこうも
言った。?宇宙を遠くから見ることができれば、それは黒子のような小さな点


に映ることだろう?と。僕にとってはもう、ビックバンだの、ビッククランチ
だのどうでも良いことだった。?宇宙の始まりは、神によって創られた?、そ
れだけで説明は十分だろう。どちらにしろ、僕が生きている間に神の存在を確
認することは百%無理なことは重々承知していた。僕達人間の最終目的とは、
「神」と会うことだった。

勿論、「量子重力理論」が完全なる理論となったとしても、僕達人間の最終
目的は変わらないだろう。しかし、そんな思想では、物理学者として飯を食っ
ていけないばかりか、とある作家から、?君は宗教家として生きていくしかな
いだろう。しかし、君には他人を惹き付ける魅力が無い?と言われるのがオチ
だろう。けれど、僕はとある作家や、全人類にこう断言する。?死んでも神の
国に行くことはできない、全ては生の世界で.現することなのだ?と。

ホーキングの「無境界仮説」や、ゴットの「自己創造する宇宙モデル」、「ビ
ックバウンス」等の理論に衝撃を受け、物理学の世界に足を踏み入れた僕、己
の中で全ての謎が解けていく中で、僕はその答えを心象としてみることはおろ
か、.際にこの目で見ることすらできないことを悟った瞬間、「死」を素直に
受け入れないといけないと「悟っ」た。それでも僕は、僕の「量子重力理論」
の新しい理論では、生きていくことができない。この地球上で、僕のように悟
りの境地に立ち、誰にも認められないまま死んでいった人間は何人いただろ
う?











コサック



とある国の小さな名も無き農村で、僕は生まれた。僕は生涯、「コサック」、
と呼ばれ続けた。理由は別段言わなくても分かってもらえるだろう。そしてそ
の農村で、内戦に巻き込まれて死んだ。昔ならよくある、平凡でちょっぴり可
哀想な人生だ。僕のそれは今から十.年前に終わった。君達の中にも僕のよう
な終わり方をした人はいるかい? 僕達は今、この世界で二十歳までの記憶を
消されて再び?同じ人生?を繰り返させられるのを順番待ちしているけど、そ
れって、噂では、ただの神様達の遊戯の駒に過ぎないらしいよ? 僕は十九歳
で死んじゃったから、全ての記憶が消されてしまうから、まぁいいけどさ…。
でも、僕が生涯愛した女性を、また同じ人生の中で、愛することができるのか
な、って思うとさ、なんだかとても不安になるんだ…。彼女も僕と同じように


戦禍に巻き込まれて死んじゃったんだけどね、一度そう不安になると、僕はす
ごく落ち込んでさ、彼女のことを忘れない代わりに、烏賊に生まれ変わっても
いいと思うよ。そして僕を引き揚げた人が僕を食べて、その人の中で、僕は彼
女を愛し続けるんだ。その人が土に還って、地球の一部になって、地球が滅ん
で、宇宙が滅んで、それらを覆う世界も滅んで、その世界を覆う世界も滅んで、
その世界を覆う世界も滅んで、その世界を……、を無限に、結局は神様達のDNAの一部になって、神様達が土に還って、神様達が住むこの世界も滅んで、
この世界を覆う世界も滅んで、その世界を覆う世界も滅んで、その世界を……
を無限に繰り返して、結局、滅茶苦茶になって、何も分からなくて、何も分か
ることのないまま、「世界」は、最小の単位まで分化されて、時空の問題にな
って、量子重力理論の話になって、今、生の世界で議論されている問題へ、「還
って」、僕達はつまり大きな意味で言うと、「過去の世界」には二度と戻れな
いから、この「愛」は、一度きりのものなんだ……、いやだ!!いやだ!! い
やだ!! 僕は彼女のことを忘れたくない!! 彼女のことを忘れたくな
い!! 僕は…、僕は…、永遠なんてないんだね……、……ごめんね、取り乱
したりなんかしちゃったりなんかして……。…でも僕が、君達が此処に来る前
にいた人達から聞いた話を総括するとそういうことになるんだ。人間はさ、死
んでからも歳を取り続ける、って昨日話したけど、僕は十九歳で死んだだろう?
彼女は二十一歳で死んだだろう? 今までの話を聞いたら、二十歳以降に死ん
だ人は、生まれつきその記憶を持っていると思うかもしれないけど、それは.
際に、「二十歳」まで生きないと思いださないものらしいんだ。十九歳で死ん
だ僕には関係の無い話だけどね……。でも、彼女は僕が死んだ後、僕が彼女の
ことを森羅万象の質量よりも大きい「愛情」で愛していたことに気付いたかも
しれない。この世界に何故だか分からないけど、彼女の姿は無いんだ。どうし
てだろう……。僕はいっそのことジャガイモにでもなって、戦争に反対する人々
の武器になりたいよ、彼女は…、そこの君が昨日歌って聞かせてくれた、とあ
る女性歌手の唄の歌詞に出てくる主人公にとてもよく似ているよ、彼女だけ神
様達が特別に、…もしかしたら僕の為に…、?生まれ変わらせてくれた?のか
もしれない。もし僕の推測が末当なら、僕は幸せ者だな……。…いや、いいん
だ、僕はそう思い込みたいんだ、また同じ人生、─つまり、十.年前のとある
国の小さな名も無き農村で─、でコサックとして生を受けるまで、あの唄を歌
い続けるよ。でも「日末語」って難しいね、…うん、今が2009年だから、
その唄が発表されたのは2004年か…。その歌手が歌っている唄のタイトル
は確か…、「Dа…。












詩人の自殺 2009.4.16



とある詩人はもう書きたいことを書き尽くしてしまっていた。もう心残りは
無かった。その詩人には嘗て恋人がいたのだが、とある伝染病で死んでしまっ