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冷たい夜

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 冷え切った部屋の中で俺は目覚めた。
 こんな日は布団から出たくない。
 特に昨日は夜中に目覚めてしまったから寝不足だ。
 不快の極みの中で仕方なく出勤の支度を始めた。


 俺はいつも通り朝食抜きでコーヒーだけ飲んだ。
 出かける前に窓のカーテンを少し開けると外は白く輝いていたが、雪は止んでいて思ったよりは積もっていなかった。
 このアパートに隣接している公園に何人かの人影が見える。自分には関係無いので気にしない。

 まだ湿っているコートを羽織って玄関のドアを開き、俺は公園の近くを通らないようにして仕事場へと向かった。
 



 これは後から聞いた話だが、その日の公園では赤ん坊と母親が死んでいたそうだ。どうやら新聞にも載ったらしい。母親が運悪く心臓発作で倒れてしまったということだけど、詳細は知らない。俺には関係の無い話だから。


 そう、関係の無い話なのだ。


 その筈だったのに。


作品名:冷たい夜 作家名:大橋零人