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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 自分だけわからないのがもどかしい。仲間外れにされているようにも思えてくる。
「輝クン、こっちに来てここを見てくれる?」
 輝は未空に言われるままに椛と楓と一緒に未空のもとに駆け寄った。
「見ろって何を?」
「ゾンビというのは動く死者だから幽霊と違って肉体を持っているのよ。それなのにこの床には肉片の一つも無いでしょ?」
「肉片が落ちてたらグロいじゃん」
「つまり肉片が落ちてたらグロい……じゃなくって、変なこと言わないでよ」
「オレはただ正直な感想を言っただけだよ」
 冷たい目をして輝を見た未空だったが、すぐに気を取り直して話を続けた。
「つまり、あのゾンビたちは偽者だったということになるわ。そして、恐らくここはさっきも言ったけど、病院の中ではなく別の場所だと思うの。きっと、異界と呼ばれる類の場所かもしれないわね」
「椛もそう思うよ、ここは人間の世界じゃないと思う」
「楓はね、きっと輝が『寒い』って言った時には違う場所に来ちゃってたと思うの」
 何かすごい展開になってきたなと思いつつも、輝はワクワクしていた。一人でここにいたら恐怖に怯えていたかもしれないが、椛と楓、そして、未空が近くにいてくれたので安心していられた。この三人は輝にとって強い味方だった。
「先を急ぎましょう。関係ない敵を相手にしている暇はないわ、早く尊たちを探しましょう」
 未空は楓の手を取って歩き出した。輝もまた椛の手を取り未空の後に続く。
 やがて輝たちは階段の前に差しかかった。この下に楓は行きたいと言うのだが、階段は見事に壊されていた。
「下に尊たちはいるの」
 楓はそう言うが、階段が壊れていては下には行けない。
「あのさぁ、楓が琥珀たちから逃げ出した時ってどうやってここ通ったの?」
 至極最もな輝の質問だった。しかし、楓はその質問に答えることができなかった。
「わからないの。ここを通ったと思ったんだけど?」
「はぁ? どういうことだよ、勘違いじゃなくって?」
「嫌な予感がするわ。もしかしたら、本格的に異界に迷い込んでしまったのかもしれない」
「はぁ? さっきから異界にいたんじゃなかったの?」
 『はぁ?』という声が裏返ってしまった。もう、輝は何だかわからなくなってしまっているのだ。
 未空を人差し指を立てた。
「ひとつ、楓ちゃんの勘違い」
 未空は人差し指に続いて中指を立てた。