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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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「ホントだ、炎の中にばっちし狐が映ってるよ。ほら、悠樹も見てみろよ」
 写真を手に取りマジマジと見つめる悠樹。
「確かに炎の中に白い狐が写っているが……」
 写真には燃え上がる家の屋根が写っており、その屋根の上に白い狐が遠吠えをするポーズで写っていた。
「いくらポラロイド写真だからといっても、これが合成やトリック写真ではないと言い切れないので、この証拠物件については保留だな」
 冷めた口調で写真を武に手渡す悠樹であったが、武としては納得いかない。
「え〜っ!? 信じてくれないの?」
「だいじょぶだ武、オレは信じるぞ。こんな夢も希望も持ってない悠樹はろくな大人にならないんだから」
 輝は武と肩を組んで悠樹のことをワザとらしく軽蔑する眼差しで指を差した。指をさされた悠樹もちょっとワザとらしく腕組みをしてすごく不満そうな顔をする。
「どうせ俺はろくな大人にならない」
「ホント、みんなの前じゃあんな愛想いいのになんで俺たちの前だとこーなんだろーな。典型的なAB型の二重人格性格だよな」
「血液型占いは信用性に欠けるものだ。あれは思い込みでしかない」
 そう言いながらも輝の言葉に少し悠樹はドキッとした。自分でも使い分けているつもりはないのだが、いつの間にかそうなっていた。昔は誰でも輝たちにみたいに接してきたのに、……両親が離婚して新しい母親が来てから自分は変わってしまったような気がする。悠樹はそう考えていた。
 ――予鈴が鳴った。もうすぐ五時間目が始まる。
 委員会が終わったら個別に帰ることを許されているので、バッグなどの荷物を持って移動する。
「そろそろ行かねーとな。……ていうか何でオレが図書委員なの?」
 輝はまだ納得していなかった。あんな強引な決め方で納得できるわけがない。
 不満な表情をしている輝を武は上目遣いでみつめた。
「実はボクが休んでる人にしちゃえばって言ったんだよね」
「何ぃ〜! 武、おまえのせいだったのか? おまえのせいでオレはこれから一年間、辛く険しい道を突き進み、力尽きて死ななきゃいけないんだぞ!」
「ゴメンネ。でも、死にはしないと思うケド?」
「わからないぞ、もうひとりの図書委員は星川だぞ。もしかしたら呪いを架けられてカエルにされて中国料理屋に売られるかもしれないんだぞ!」
「アホな会話してないでさっさと行け、遅刻するぞ」