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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 そう言って悠樹はさっさと委員会に行ってしまった。
「ボクらも早く行こ」
「いや、でもだなカエルにされて……」
「カエルの話は廊下で聞くから、早く行こ」
 輝は武に背中を押されて廊下に無理やり出された。
 廊下には委員会の集まりのため移動をする生徒が多数いた。
「カエルにされたらまず……」
 武は飽きもせずカエルについて語る輝の話にまだつき合わされていた。
「カエルはわかったから、それよりもさっきの狐の話なんだけどさぁ」
「さっきの狐がどうかしたか?」
「実はね、こないだ御神木が燃えた小春神社で祭られてる神様って狐なんだよ」
「だから?」
「だからきっとボクの推理だと、御神木を燃やされた狐の神様が人間たちに復讐してるんだよ」
 そんな会話をしていたら図書室の横まで来ていて輝はここで武と別れた。
「じゃな武」
「うん、また明日ね」
 軽く手を振り武と別れた輝は図書室の中へと入って行った。
 図書室に訪れたのはこれで二度目。一度目は授業で来た。輝はもともと本を普段から読むことがない、だから当然図書室なんて用のないところだと思っていた。
 室内にはもうすでに図書委員たちが多く集まり決められた席に座っていた。その中には星川未空の姿もあった。
 輝は未空の横に座り彼女のことを見た。
「こ、こんちわ」
 何となく挨拶。未空は明らかに輝が苦手なタイプだったが、輝はとりあえず誰とでも話すことを普段から心がけている。
「こんにちわ真堂くん」
 小さくてゆったりとした口調。
「……えっ?」
 思わず言ってしまった。挨拶が返ってくるなんて思っていなかった。確かに今初めて話をしてみたけど、勝手に挨拶しても返ってこないタイプだと輝は未空のことをそう思い込んでいたのだ。しかも苗字まで言われたので驚きは一層強かった。
「真堂クンであってた?」
「あ、そう真堂輝。星川未空さんだよね、よろしく」
 輝は手を差し出し握手を求めた。
 白くて小さな手はすんなり差し出され、輝の手を握った。
「こちらこそよろしく真堂クン」
 未空はやさしい微笑み浮かべた。
 正直輝はほっとした。第一に不思議なオーラ(電波)が出ているが、未空は悪い人ではなそうだということ。第二に未空の手が暖かかったこと――これはとりあえず血の通っている人間だということ。もしかしたら未空に体温がなんじゃないかと少しだけ輝は思っていた。