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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 それに比べて武は軽快なステップで楽々階段を登って、綾乃の遥か頭上で手を振っている。彼が学校で入っている部活動は剣道部で、それに加えて毎朝近所の周りをぐるぐるジョギングしていて、持久力には自信があるのだ。
 体力の有り余っている武はご丁寧なことに、綾乃の元まで降りて来ては急かして上に登り、また降りて来ては急かして上に登るということは何十回も行った。
 結局綾乃は一度も武に手を貸してもらえないまま階段を登り切った。武は運動系のことには決して手を貸したりして助けたりはしないのだ。
 この神社は小春神社に比べるとものすごく大きかった。境内はだいだいサッカーの試合ができるくらいの大きさだし、本殿はその半分くらいの大きさで、近くにはこの神社の神主の住居などがある。
 疲れ切っている綾乃は前を歩く武だけを見て進んだ。そして、何も考えずに武の後について行くと綾乃はいつの間に建物の中に入っていたようだ。
 どうやらここは民家の玄関のようだ。
 武が大きな声で叫んだ。
「こんにちわーっ!」
 すぐに背筋のぴんと伸びた威厳のありそうな老人が現れた。
「おお、よく来たな武。元気にしとったか?」
「ボクはいつでも元気だよ」
 どうやら老人と武は知り合いらしいが、この老人はどこの誰で、武とはどのような関係なのだろうか?
 綾乃がゆっくり手を上げた。
「あの、こちらの方は誰?」
「この人はボクのじっちゃんでこの神社の神主だよ」
「お嬢さん初めまして、わしはこの神社で神主をしておる葉月光伸[ハズキミツノブ]と申す者じゃ」
「アタシは涼宮綾乃っていいます」
 綾乃はぺこりとお辞儀した。
「都会っ子のお嬢さんにはあの階段は堪えたじゃろ? 家の中にお上がんなさい、茶でも飲んでゆっくり休むといい」
 武は靴を丁寧に揃えて家の中に上がった。綾乃はいつもなら適当に靴を脱ぎ捨てるのだが、今日は武に習って靴を丁寧に揃えて家の中に上がった。そうしないとこの老人に激しく怒られそうな感じしたからだ。
 老人によって居間に通され綾乃と武は出された座布団の上に座った。この時、綾乃はいつもならば足を崩して座るのに今日は正座をしてしまった。
 一度姿を消したかと思った老人はお茶とお茶菓子を持って現れた。
「ところで武はいつも来ているからよいとして、お嬢さんは何の用で来なすった?」