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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 今日この場所に呼び出したのは綾乃だが、この計画を持ちかけたのは武だった。
 綾乃は昨晩輝の家から帰宅した後、電話で武に洗いざらい話して自分に協力するように仕向けたのだ。
 超常現象おたくの武はすぐに綾乃の話に飛びつき、なんでそんなおもしろそうなことを輝と悠樹は自分に隠していたんだとちょっとムッとした。武は輝と悠樹に一泡吹かせる気満々だった。
 武情報によると、電車で一時間半くらいの距離にある駅からちょっと歩いた場所にある神社に、ものすっごい霊力を秘めた弓矢があるらしい。
 駅のホームにはまだ朝早いというのに微妙に人がいた。しかし、ラッシュアワーまでは時間があるのでシーンと静まり返っている。
 場内アナウンスが入り電車が来た。ぼちぼち人が座っているがまだ全然席は空いている。
 座席に並んで座った二人の片方はすでにぐったりで、もう片方はウキウキ感で心弾ませていた。ぐったりしているのが、朝が非常に弱い綾乃で、ウキウキなのが武だ。
 武は昨日電話で綾乃と話している時から胸躍る気分で、昨日から一睡もしてなかったりする。
「いいなぁ、ボクも琥珀って妖怪見たいなぁ。妖狐が紅蓮の炎に包まれている映像を想像しただけで感動しちゃうよね」
「そんないいもんじゃないわよ。星川さんなんて月夜霊に矢で撃たれて殺されかけたんだから、あんな血だらけの服……思い出しただけでも寒気がするわ」
「でも本当にあの月夜霊さんなの? あの人がそんなことするなんてボクには今でも信じられないけど」
「クラス委員やってても悪い奴は悪い奴なの。だって、すごく仲のよかった友達を矢で撃つなんて普通の人にできることじゃないわ」
「う〜ん……」
 まだ話だけしか聞いていない武には尊が悪い奴だったなんて未だに信じられない。その尊が未空を矢で撃ったなんてもっと信じられない。この話が事実だと知っても、多くの人が『まさか月夜霊さんが』と言うに違いなかった。
 月夜霊尊は一年の入学時から小春西高校に在籍して、約一年の間に優等生で美人で誰にでもやさしく接してくれる人として、女子生徒を中心に慕われる存在としての地位を確立していた。その尊が実は人間じゃなくて、未空を矢で射抜いたとなると、天地がひっくり返るに等しいことだった。
 電車に揺られて一時間半ほど経った頃二人は電車を降りた。