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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 悠樹の言葉は完全に命令口調だったがそれにはわけがある。悠樹は目の前で矢を刺されて血を出した未空も見たし、椛によって大量の矢を射ち込まれた尊の姿も目のまで見ていた。そんなところに綾乃を巻き込ませたくなかった。だからと言って他の者ならいいのかというとそうでもなく仕方なくだった。
 輝は悠樹に学校に行けと言われても意地でも椛の傍にいると言うだろう。未空はもっと危険で、学校に行くと口では言っても、きっと独りで行動して危険なことをするに違いないので、それなら一緒にいて貰った方がいい。
 綾乃は少し考えてから口を開いた。
「しょうがないわね、学校行けばいいんでしょ。でも、椛ちゃんに何かあったら承知ないからね」
 悠樹はほっとした。しかし、悠樹の読みは甘かった。
 綾乃は学校に行くとは言ったが、内心では学校を休んで何かをしてやろうと思っていた。
 夜の深さは増し綾乃は自宅に帰り、未空は今晩はこの家に泊まっていくことになった。「星川さん、おうちの人は心配しないんですか?」
 悠樹が聞くと未空はまるで他人事のように答えた。
「あの人たちは子供になんて無関心だから」
 未空の親のことをいう『あの人たち』という言葉を聞いて悠樹は自分の家庭と重ね合わせてしまった。そして、これ以上は聞かない方がいいなと判断した。
 この二人が比較的シリアスモードなのに対して残りの二人は再び暴れていた。
 輝に飛びかかる椛。輝はすんなり避けて軽くチョップを椛の頭に炸裂させる。
「痛ぁ〜い」
 と言いながらも椛は輝の膝にキック。輝も負けじと小さい子供に対して関節技を決める。
「どうだ、参りましたお兄様と言え!」
「うぅ〜……椛負けないもん!」
 ガブッと椛は輝の腕に噛み付き、輝が怯んだ隙に後ろに回って殴る蹴るの猛襲。
 そんな二人の光景を見ながら悠樹は思った。もしかして、妹ともこんなことしてたのか? 悠樹には少し理解しがたかった。
 輝は再び椛に関節技をかけながら余裕を見せて全く別の話をした。
「ところでさあ、星川さんどこで寝るの?」
「あたしならソファーでも平気だけど、真堂クンあたしと寝る?」
 これはマジで言っているのか、冗談なのか、はたまた天然なのか、輝には理解できなかった。
「星川さんは輝のご両親の寝室でいいんじゃないか?」
「そうだな、あのダブルベッドだったら朝までぐっすりだな」