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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 思わぬことに綾乃は取り乱した。突然の直球勝負をされてしまったのだから……。
「大丈夫、言わなくていいわ、わかってるから。でもね、今の彼の心の中は大変なことになっているから、いろいろあり過ぎたし、尊のことがショックだったみたいだから。涼宮さんも頑張ってね」
「ふ、服置いたから出てくね」
 綾乃は急いで外に出ると力いっぱいドアを閉めてそのドアに背中から寄りかかった。
「いきなり何で? どうしてわかったのよ!?」
 綾乃は未空に心の中を覗かれてしまったようで何がなんだかわからなくなった。もしかして本当に自分の心を……。綾乃は真っ赤になってしまった顔をパタパタ仰いでからダイニングに戻った。
 綾乃がダイニングに戻るとそこは再び戦場と化していた。しかも、一人増えている。
「あんたたち、そんなこと……うっ!」
 椛の投げたクッションがコースを外れて綾乃の顔面に直撃した。それを見た椛と輝と悠樹は思わず固まった。
 無表情のまま綾乃は床に落ちたクッションを拾い上げ、振りかぶって投げた!
 クッションは見事命中、悠樹の顔面を吹っ飛ばした。
「わ〜い、綾乃すっご〜い!」
 先程と全く同じようにソファーの上で椛は飛び跳ねはしゃぎ出した。
「何で俺に投げるんだよ!」
「……何となく。じゃなくって、なんで悠樹まで一緒にはしゃいでるのよ!」
 実際の理由は未空に変なことを言われたせいだ。だから、どうしても悠樹に投げつけたくなったのだ。
「椛に一緒に遊ぼうって言われたから……」
「だからって、部屋の中で暴れるなんて非常識でしょ!」
 綾乃は妙にカリカリしていて、悠樹にキツく当たった。それもこれも未空に変なことを言われたために当り散らしているのだ。
「椛ちゃんも女の子なんだから、クッションなんか投げて遊んじゃダメでしょ!」
「綾乃お姉ちゃん恐〜い」
 輝と悠樹は綾乃に何かあったのかと二人で首を傾げたが、触らぬ神に祟りなしということわざもあるので何も聞かなかった。
 遠くの方から微かな声が聞こえた。
「……洗濯機の使い方がわからないんだけど」
 未空の声だった。『たぶん使える』の『たぶん』に引っかかってしまったのだろう。
 悠樹は自分でいこうとしたが、
「俺は今から夕食の準備するから、輝いってくれないか?」
「オレが?」
「ボタン押すだけの全自動だからおまえだって使えるだろ」