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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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「結界が壊されたわ、きっと中で何かが起こったんだわ」
「待って、星川さん!」
 悠樹もすぐに未空を追いかけて神社の中へ入っていった。
 境内へと走って来た悠樹は驚きのあまり足が動かなくなり立ち止まってしまった。
「なんだあれは?」
 悠樹の視線の先には炎を身に纏った狐が地面に倒れていた。あんなものがこの世にいるわけがない、と思った悠樹だったが、それだけではなかった。
 背中に矢を刺されてうずくまる巫女装束を着た女性と、その女性が向いている方向にはなんと!?
「尊!」
 悠樹は思わず叫んでしまった。矢を構えているのは黒装束に身を包んだ女性。それは紛れもなく月夜霊尊だった。
 悠樹は何がなんだかわからなくなった。いったいここで何が起きているのか、なぜ尊がここにいるのか、矢を刺された女性はいったい何者なのか、この狐はいったい何なのか?
 呆然と立ち尽くしている悠樹に対して未空は至って冷静だった。
「あの狐の妖怪が琥珀の真の姿、そして、あそこで倒れている女性が椛ちゃんよ」
「あれが椛……いや、どうして、どうして彼女は矢で……尊、なぜ君が椛を……」
 尊は悠樹に名前を呼ばれ、構えていた弓をゆっくりと地面に下ろすと悠樹を見てこう言った。
「私は人間たちの敵だ。そして、君とも……」
 もう悠樹は何も言葉を発することができなかった。悪い夢なら覚めてくれと願うのみだ。
 椛は背中に刺さった矢を苦痛に顔を歪ませながら自ら引き抜き、弓を掴んでゆっくりと立ち上がった。
「やはり、あなたも人間ではなかったのですね」
 これは尊に向けられた言葉だった。尊も人間ではなかったのだ。
 椛は言葉を続けた。
「あなたに初めてお会いした時は私の力は衰えており、あなたも自らの力を隠しておられた。あの時は漠然としかわかりませんでしたが、今ならはっきりわかります。あなたも私と同じ――神々の一人であらせられますね。それも、私よりも神格の高い神でしょう。しかし、あなたのような神格の高い神がなぜ……?」