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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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「私は戦の神々の眷族ではありません。私の力を攻守で例えるなら、防御的・受動的な力。私の役目はこの地に住む人間を含める全てのものを守ることです。結界を作り出すことが私の最も得意とするもの」
 琥珀はいつの日だったか、普通の狐だった頃に檻に閉じ込められ、生きながらして炎で全身を焼かれたこと思い出し、激しい咆哮を上げた。
 炎で焼かれたあの時の想いが蘇り、琥珀の身を包む炎はより一層激しく燃え上がった。
 椛はそれを受けて結界の力を強めた。
 円形ドーム状の結界の中を炎が満たし、今にも渦巻く炎によって結界は壊されそうだった。
 椛は結界を破られまいと全神経を集中させ力を結界に注ぐ。その顔からは汗がにじみ、地面にぽたぽたと雫を落としていた。
 互いに一歩も引かない苦しい状況となった。戦いは持久戦にもつれ込み、少しでも気を抜いた方が負ける。この戦い、大地からエネルギーを借りることのできる椛の方が有利か?
 結界の中の炎が弱まりを見せ、勝負あったかと思ったその時、椛は背中を刺されたような痛みを覚え地面に倒れ伏してしまった。その瞬間、琥珀を覆っていた結界は弾け飛び壊れ、神社全体を覆っていた結界までもが大きな音と共に弾け飛び消滅してしまった。
 椛は地面に手をつきながら後ろを振り返ると、そこにいたのは!?

 神社の前までは来たが中に入ることができない。悠樹と未空は神社の鳥居の前で立ち往生していた。
 悠樹は何もないはずの場所に手を触れて見ると、そこには目の前に見えない壁があるようだった。
「何なんだこれは?」
「きっと結界ね」
「結界?」
「中にきっと二人の人物がいる。激しいエネルギーのぶつかり合いを感じるもの」
 悠樹は見えない壁を手探りで触りながらいろいろな場所を調べてみるが、どこにも入口はない。
「どうやって中に入ったらいいんだ」
「葵城クン伏せて!」
「えっ?」
 悠樹が地面に伏せる未空を見た時には、彼の身体は見えない何かによって五メートル程吹き飛ばされていた。悠樹が吹き飛ばされた時、彼は何かが弾け飛ぶような大きな音を聞いて、身体に無数の小さな塊がぶつかったのを感じた。
「何だいったい?」
 膝を曲げアスファルトの地面に片手をつきながらどうにか受身を取った悠樹は、何が起きたのか全くわからなかった。
 未空が神社の中へ走り出した。