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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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「私も貴方とは争いたくありません。けれど、私は人間の味方です。貴方が人間の敵である限りは争わなくてはいけません」
「どうしてだ!? なぜ、そんなに人間の肩を持つんだ? 君も僕と同じ狐の化身だろ、同じ仲間じゃないか……それなのにどうして……」
「今は人間の姿が私の真の姿です」
「そうか……?人間?は僕の敵でしかない」
 琥珀は椛を敵とした。しかし、その声には哀しさが含まれていた。
 紅蓮の炎に包まれた琥珀は白銀の狐へと変化し、妖狐琥珀となった。彼は本気だった。先ほどまでは力を抑え戦っていたが、今は違う。
 椛はためらうことなく燃え盛る琥珀に矢を放った。しかし、矢は琥珀の放った炎によって消滅させられてしまった。
 咆哮を上げた琥珀は地面を蹴り上げ天高く舞い上がった。そして、上空から地面に炎の塊が降り注ぐ。
 飛来してくる炎の塊を避けながら椛は矢を天に向けて放った。矢はことごとく炎によって消滅させられ、上空から落ちながら琥珀が襲いかかってきた。
 琥珀が椛に飛び掛る寸前、椛は目を閉じた。恐怖からではなかった。椛が目を閉じた瞬間、地面の石畳を押し上げて木の根らしきものが飛び出して来て、琥珀に絡みつき動きを封じた。
 土地神である椛は自然の力を自由に借りることができるのだ。そして、この小春神社内は椛の力が最も強くなる聖域だった。先ほど受けた傷もすでに完治している。
 後ろに飛び退いて間合いを取った椛の顔色が険しくなった。琥珀は身を包む炎の勢いを強くして、身体に巻きついた木の根を焼き払ったのだ。
「木の力などでは僕の動きは封じられない。この炎を身に纏っている限りは、椛、君には負けない」
「私もこの聖域では貴方に負けないわ」
 椛は幾本の矢を同時に放なった。その矢は全て琥珀を外れ、とんでもない方向に飛んでいった。
「どうしたんだ? 矢を放つ力もないのか――いや、違う!?」
 琥珀は大誤算をしてしまった。外れたとばかり思っていた矢は狙い通りに放たれていた。
「もう貴方は逃げられません」
 椛の宣言どおり、琥珀はある一定の範囲から外に出られなくなってしまった。
 琥珀の周りには円を描くように矢が地面に突き刺さっている。椛は矢を使って結界を作ったのだ。
 琥珀は結界から出ようと見えない壁に勢いよく突進するが、バネで弾き返されたように吹っ飛ばされしまう。