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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 今の琥珀には恐れるものなど何もなかった。今の今までは――。
 琥珀に一枚の紙切れが投げつけられた。そんな紙切れなど燃やしてしまえと火を投げつけたのだが紙切れは燃えず、紙はそのまま琥珀の後ろ足に貼り付いた。
 この時、琥珀は悟った。都には陰陽寮という役所があり、そこに勤める陰陽師とやらは大変術に長けており、妖怪を倒す専門家なのだという。もしや、その陰陽師か!?
 案の定、琥珀の紙切れを貼られた後ろ足は、金縛りに遭ったように動かなくなっていた。
 武士とは違う着物姿の男が前に出た。琥珀はその男から只ならぬ物を感じ後退った。この男が陰陽師だ。
 陰陽師は指で印を組むと何やら呪文を唱え始めた。するとどうだろう、子鬼がどこからともなく現れた。これは式神というやつだ。
 琥珀は自らの力で強引に足に貼られたお札を取るが、陰陽師は式神を操り琥珀に攻撃を仕掛けてきた。
 二匹の子鬼は琥珀の放つ炎を掻い潜りながら襲いかかってくる。
 琥珀は自らの鋭い爪で子鬼の胸を切り裂いてやった。それでも子鬼は襲いかかって来るので火で全身を焼き、首に噛みついてやった。
 その間、琥珀も子鬼たちや武士たちに攻撃を受けて傷ついた。身体は刀で切られ、子鬼たちには殴られた。
 ボロボロになりながらも琥珀は屋敷中に炎を放ってやった。燃え上がる屋敷から武士たちが退却していく、しかし、子鬼たちは遠く離れて非難している陰陽師に操られて執拗に攻撃を仕掛けてくる。
 重症を負った琥珀は自分の存在が消滅してしまうことを恐れて逃げ出した。
 山を越え野を越え、三日三晩寝ずに逃げ続けた。しかし、その間も子鬼たちの攻撃は続き、傷ついていく琥珀は己の存在がこの世界から消えるのを覚悟した。だが、琥珀は四日目の朝についに子鬼たちから逃げることができたのだ。
 どうにか逃げることはできたが、もう力は残っていない。知らない土地で自分は消えるのだと思い地面で倒れていると、そこに一人の美しい女性が現れた。この女性が椛だった。
 椛はこの辺りの土地を守る土地神であるが、彼女もまた狐の化身であった。
 琥珀が同属であることを感じ取った椛は、琥珀のことを何も知らぬまま自らの神社に連れ帰った。
 この頃の小春神社はこの地域で最も有名で大きな敷地を持っていた。