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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 人間の姿が目の前に見えた。それでも琥珀は諦めずに罠を外そうとした。けれども外すことは最後まで叶わなかった。
 人間に捕らえられた琥珀は生け捕りにされて里まで連れていかれた。
 里に着いた琥珀は木でできた檻の中に入れられた。そして、檻に入れられてもなお琥珀は逃げようした。
 まず琥珀は地面を掘って逃げようとした。
 地面にはなぜか枯れ草が敷き詰められていて、それを退かすと石が見えた。他の場所も調べたが全て石が敷き詰められていた。これでは逃げることができない。
 人間たちは前もって琥珀を捕らえたときのために檻を作っておいたのだ。その檻の下には穴を掘って逃げられないように石を敷き詰め、檻自体もとても頑丈な木で作られていた。
 琥珀は諦めずに檻の壁に何度も何度も突進した。しかし、びくともしない。それで余計に身体を痛めてしまった。
 今逃げ出すのは無理だが、いつか機会が廻って来るだろうと思い、琥珀はその時に備えて身体を休ませることにした。
 しばらくすると檻の外に大勢の人間たちが集まってきた。里中の者が集まって来たに違いない。しかし、何故?
 これから何かが始まろうとでも言うのか――?
 突然檻の中に枯れ草が大量に投げ込まれた。枯れ草でも食えというのか? それにしても量が多い。
 人間たちが歓声をあげている。これは公開処刑だった。
 檻の中に松明が大量に投げ込まれた。さっきの枯れ草はこのためだったのだ。
 火は枯れ草に燃え移り勢いよく燃え出した。
 琥珀は鳴き叫ぶがどうにもならない。火は広がり自分をも呑み込もうとしている。そんな琥珀を見る人間たちの顔は琥珀にとっては鬼のように見えた。
 火はついに琥珀の身体に燃え移った。業火に身を焼かれ悶え苦しむが火は消えない。
 なぜ自分はこんな目に遭わなくてはいけないのか、自分はただ生きようとしていただけだ。それなのに人間はなぜ自分をこんなにも苦しめるのか?
 この時の琥珀には人間の気持ちなど全くわからず、ただ憎しみ怨むだけだった。
 檻の中で狐の形をした炎が暴れまわっている。そして、その炎の塊は檻に激しくぶつかった。
 炎によって脆くなっていた檻は簡単に壊れた。琥珀は檻から逃げ出せたのだ。しかし、依然琥珀の全身は炎に包まれ焼かれている。
 檻から出た琥珀は生きようとした。逃げようとした。