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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 赤子を殺され夫まで失った女は里に帰ると、子供は狐に食われ、夫はその狐に殺されたと里中の者に訴えた。こうして琥珀は妖狐と呼ばれることになった。
 琥珀の毛の色は他の狐と違い白銀だったためにその噂は瞬く間に広がり、誰もが琥珀のことを妖狐だと思い込んだ。
 人間に追われるという恐怖を味わった琥珀は二度と里に下りないことを誓った。だが、人間たちは琥珀を捕まえようと考えていたのだ。
 白銀の毛を持つ妖狐を捕まえようと里の者たちは立ち上がった。家畜を襲われ、人まで死んだ。このまま妖狐を野放しにして置くわけにもいかないと考えた。
 あくる日から人間たちによる妖狐狩りが大々的に始まった。
 山で静かに暮らしていた琥珀は、最近は山に入ってくる人間が増えたなぁ、と他人事のように考えていたが、それがまさか自分を狩りに来ているなんて夢にも思っていなかった。
 山に多くの人間が訪れるようになり、山での生活が琥珀に取って困難なものになってきていた。
 いつも人間から身を隠し、ビクビクしてなくてはいけない。
 こんな生活にはもう嫌だと思った琥珀は遠く別の山に移ることにした。そんな矢先だった。
 山で食料を探していた琥珀は獲物の野うさぎに気を取られて、人間が近づいてくるのに気が付かなかった。そして、人間に見つかってしまった。
 琥珀を見つけた狩人は弓を構えて琥珀目掛けて矢を放った。見事に矢は琥珀の後ろ足に突き刺さった。
 琥珀は痛みに耐えかね大声で吼えた。そして、矢を口に咥えて抜くと血を垂らしながら懸命に逃げた。
 逃げても逃げても人間は追ってくる。しかも人間の数は徐々に増えていた。
 琥珀はどうしても生き延びたかった。やさしかった母を殺した人間に殺されるなど絶対に嫌だ。そう思いながら琥珀は足を引きずりながら逃げた。
 人間たちとの距離は徐々に開らけていき、これなら逃げ切れると思った矢先だった。琥珀は怪我をしていなかった前足に鋭い爪が突き刺さるような痛みを覚えた。
 罠に掛かってしまった。まさかこんなところに罠が仕掛けてあったなんて思いもしなかった。
 いつもなら罠に掛かるはずが無い。しかし、人間に追われ、足まで怪我をしていて焦っていたのだ。
 後ろからは大勢の人間の足音が聞こえてくる。
 逃げたいという気持ちで罠を外そうとするが、罠は外れず傷が広がり激痛に襲われるだけだった。