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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 そう言う輝に続いて悠樹も一言呟く。
「腹が空いていない」
 悠樹の口調は仲間内で居ると愛想が無い。公の場でサービスしている分、仲間内ではその反動が来るのだ。それに悠樹は仲間内とそうでない時で?俺?と?僕?を使い分けている。
「え〜っ!? 人間だったらお昼になったらお腹空くのが当たり前だよ。輝も悠樹もお昼食べないのにボクより背がおっきいなんて変だよ。あっ、わかった牛乳いっぱい飲みまくってるんでしょ? そうだ、そうに違いないね」
 腕組みをしてウンウンとうなずく武のことなどお構いなしに悠樹は話を続けていた。
「それにだ。学校で三人で昼食を摂るとなると?昼食?、つまり食べるものが必要になるということだ。そして、武が望む昼食の風景は三人でお弁当を持ち寄り、おかず交換をしたいのだろう?」
「そうだよ、三人でおかず交換したりしたら楽しいよきっと!」
 悠樹は武の考えをバッチリ見通していた。
「誰が俺と輝のお弁当を作るか知っているか? どちらも俺が作るハメになるんだ」
「悠樹も大変なんだね、家事が何一つできない輝と二人ぐ……ぐっ」
 何かを言おうとしていた武の口をとても慌てながら輝と悠樹が塞いだ。いったい武は何を言おうとしたのか?
 口から手を放された武は大きく息を吐いて、少しすまなそうな表情をした。
「ゴメン、ついうっかり言いそうになっちゃった。秘密だもんね」
「武はうっかり秘密を漏らすクセがあるから気を付けるように。もっとも本当に気を付けて欲しいのは輝だけどな」
「はぁ? 何で俺なの? 言うわけないじゃん俺と悠樹が……ぐっ」
 悠樹は慌てて何かを言いそうになった輝の口を押さえた。
「今、気を付けろと言ったばかりだろ?」
 ゆっくりと口から手を放してもらった輝は両手を合わせ、先ほどの武よりもすまなそうな顔をした。
「ごめん、ホントごめん。以後気を付けるようにします」
「まったく、これでよく去年はバレなかったな……」
 疲れ切った表情で悠樹は肩を深く落とした。神経を常に張っている彼の寿命は絶対に短い。
 輝と悠樹の秘密とは、マンションにふたりだけで住んでいるということだ。学校にバレると恐らくマズイことになるのは目に見えているので、このことを知っているのは学校では当事者の輝と悠樹、それに武と、輝の幼馴染で隣の部屋に住んでいる涼宮綾乃だけだった。