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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 返事が無い。
「椛ちゃ〜ん!」
 やはり返事が無い。ここに椛はいないのだが、輝は知る由も無い。
「……何があったんだ!?」
 輝は全ての部屋中を隈なく探したが、誰もいない。
 物置もベランダもトイレの便器の中まで探したがいない。
「神隠しか!? じゃなくって誘拐か!?」
 ここで輝の思考は一時停止。――そして、復帰。
「悠樹は知ってるのか……連絡……ってあいつケータイ持って無いじゃん」
 悠樹は今時珍しい、携帯電話を持っていない高校生だった。その理由は携帯電話を持っていると、何時も束縛されているような気がするかららしい。
「そうだ、綾乃は帰って来てるのか!? えっと、あいつの力を借りるのか? 誰が俺が!?」
 輝はだいぶ取り乱している。そのまま、玄関を出て隣の綾乃の部屋に行った。
 ドアノブに手をかけると鍵が開いていた。
 綾乃だって自分の家に無断で入って来るのでお相子だ。ということで輝は家の中に飛び込んだ。
「…………」
 勢いのよかった輝の動きが停止し、身体が氷のように固まってしまった。
 輝の視線の先には、同じく固まってしまっている綾乃の姿が……しかも、風呂上りでバスタオルを身体に巻いただけの状態!?
 綾乃の肌から立ち上る湯気を遠い目をしながら見て輝は呟いた。
「おじゃましました」
「きゃ〜〜〜っ!」
 ってことになるのは当然の展開だった。
 次の瞬間、綾乃が自分の方に近づいて来たのまでは覚えているのだが、そこで頬に強烈な痛みを覚えて記憶がプツリと停止した。
 輝が目を覚ますと、女性の顔が自分を覗き込んでいた。
「だいじょぶ輝?」
 綾乃だった。もうすでに髪の毛を乾かして服を着替えていた。
「……殴っただろ?」
「だってぇ〜、しょうがないじゃない」
「別に裸見たわけじゃないんだし、殴ることないだろ」
「あんたが行き成り入って来るからいけないんじゃない!」
「こんな時間に風呂なんか入ってるからいけないんだろ」
「だって六時間目の体育で汗いっぱいかいちゃって気持ち悪かったんだもん。輝がチャイムも鳴らさないで入って来るのがいけないよ!」
「おまえだってたまにウチに勝手に入って来るだろ!」
 お相子だった。この話の決着はいつまで経っても平行線を辿ることだろう。だが、今はそれよりも椛のことだった。そのことで輝は来たのだ。