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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 上げられていた琥珀の手が獣の手へと変化し、鋭く振り下ろされ空を裂いた。すると、風の刃が巻き起こり未空に襲いかかった。
 未空はそれを間一髪で避けると、椛の手を掴みこの場から逃げようとした。しかし、風の刃が再び繰り出された。
 風の刃を避けそこなった未空は腕を切られてしまった。掠っただけであったが、服は二〇センチほど切り裂かれ、そこから血が滲み出していた。
 腕を切られたことなど構わずに未空は椛の手を引いて走り続けたが、不意に身体を後ろに引き戻されてしまった。
 未空が後ろを振り向くと、椛の片方の腕が琥珀に掴まれているではないか。椛は二人に腕を引っ張れて身動きのできない状態になっていた。
「琥珀放して!」
「娘! 椛を渡してもらおう」
 未空はポケットに入れていつも持ち歩いている儀式用に使うナイフを鞘から抜いて琥珀に飛びかかった。
 ナイフは琥珀の腹に刺さり、真っ赤な血が服に染みて滲み出て来た。
「よかったわ、黒魔術のナイフを持ち歩いていて……」
 普通はそんなナイフを持ち歩く人間などいないが、そのことが今回は役に立った。
 腹を刺された琥珀は椛の腕を放してよろめいた。
「くっ……小癪な!」
 琥珀はナイフを抜き取り床に投げつけると、未空の首を片手で掴むと力を込めた。
「……く、苦しい……ううん……」
 未空は首にかけられた手を必死に取ろうとしたが、その最中に全身の力が抜け動かなくなってしまった。
 琥珀が首から手を放した瞬間、未空の身体はバタンと床に崩れ落ちた。
 すぐに琥珀は椛を捕まえようとしたが、すでに姿が無い。
「……逃げられたか」
 琥珀は腹を押さえて出血を止めながら、玄関からゆっくりと出ていった。
 ――それからだいぶ時間が経過して、悠樹が自宅に帰って来た。
 悠樹はマンションの部屋に行く途中、不信な血痕を見つけた。それは自分の部屋まで続いている。
 そして、血痕は本当に自分の部屋の前まで続いていた。
 慌ててドアに鍵を挿し込み鍵を開け、ドアノブを引くがドアが開かない。まさかと思い、鍵をもう一度開けるとドアが開いた。
 ドアを開けるとすぐそこの廊下に未空が倒れているではないか!
 悠樹はすぐに未空に駆け寄り、脈があるか確かめ、息をしているか確かめた。大丈夫だ、どちらも正常だった。しかし、首に絞められたような痕がある。