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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 椛を部屋の中に入れると輝はドアをすぐに閉めた。悠樹に話を聞かれたくないような気がしたからだ。
 部屋の中は少し散らかっていた。物が乱雑に置いてあり整理整頓されているとは言えない部屋だった。輝の部屋はこの家で一番散らかっている。
「適当な所に座って」
 背の低い小さなテーブルの前に腰掛けた輝に続いて、椛も床にちょこんと座った。
「悠樹と輝がケンカしてるから、心配なの」
「だいじょぶだって、オレと悠樹のケンカは必ず最後は仲良くなれるから、今までだっていっぱいケンカして来たしな」
「でも、椛のことでケンカしてるんでしょ? だから椛がいると、ずっとケンカが続いて……うぐっ……」
 しゃべりながら椛は何時の間にか泣いていた。そう、椛も自分のことで二人がケンカしていたことに気づいていたのだ。
「だいじょぶだって、心配すんな。椛のことでケンカなんてしてないから」
「ほんとに? 椛のことじゃないの?」
「ああ、ホントだって」
 嘘をついた。しかし、椛の澄んだ眼で見つめられると、ものすごい罪悪感を感じる。
「じゃあ、何で輝と悠樹はケンカしてるの?」
「え〜と、それは……」
「……やっぱり椛のことでケンカしてる」
「…………違うって」
「ごめんなさい椛のことで……ごめ……うぐっ……うっ……」
 また椛は嗚咽混じりに泣き出してしまった。そして、そのまま輝の部屋を飛び出していった。
「ま、待て!」
 手を伸ばしたが間に合わない。そして、すぐに追いかけたが玄関から外へ出ていってしまった――。
 輝も急いで外に飛び出した。しかし、そこには椛の姿はなかった。
 どこにいってしまったのかと辺りを見回したがどこにもいない。
「マズイなこりゃー」
 そう呟くと輝は家の中に戻って悠樹を呼んで来ることにした。
 呼ばれた悠樹は椛が飛び出していったことを聞いてひどく心を動揺させた。
「本当か! でもどうして?」
「オレらがケンカなんかしてっから、椛ちゃんは責任感じて出てっちまったんだよ!」
「行くぞ輝!」
「おうよ、手分けして探すぞ」
 二人は家を駆け出て椛を探しに出た。
 マンションを出てすぐに二人は分かれたが、心当たりなんて何も浮かばない。どこをどう探していいのかわからない。
 輝は自転車に乗って近所を探すがどこにもいない。椛はいったいどこにいってしまったのか?