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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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「ねえ、どうして椛のこといとこって言ったの? 椛、悠樹のいとこじゃないよ」
 二人は帰り道を歩きながら話した。
「そうだね、椛は俺のいとこじゃないよね。でも、これからは人前ではそういうことにしてくれるかな、椛が人間じゃないってみんなが知ったら大変なことになるからね」
「うん、わかった」
 この時、悠樹は自分の発言にはっとした。椛のことを人間じゃないと何時の間にか言っていたのだ。
 周りの雰囲気に押されて、悠樹の中で何かが変わりつつあった。
 悠樹は昔からこんな性格だったわけでもないし、小さい頃は幻想的な世界を信じていた。いつから信じなくなってしまったのか……。
 夕暮れの中を家に帰って来た悠樹と椛は少し早めの夕食を食べた。
 うどんを茹でて、スーパーのお惣菜売り場で買って来たてんぷらを乗せた手抜き料理。毎日の料理を作る悠樹としてはたまには手抜きも必要だった。
 輝が起きて来てもいいようにてんぷらを残して置いたが、結局輝が起きて来ることはなかった。
 そして、夜は更けて朝が来た。
 部屋から出て来た輝は昨日と同じように悠樹と椛と鉢合わせになった。しかし、今朝の輝ははやし立てることなく、ただ、
「おはよ」
と言って、それ以上口にせずにダイニングにいってしまった。
 朝食時の会話も二人とも椛とは楽しそうに話すが、二人の会話は単語を交わすのみだった。
 昨日のデパートでの言い争いがまだ緒を引いているらしい。
 そんな二人に挟まれた椛は表情が曇ってしまった。
「どうしたの二人とも?」
「……ごちそうさま」
 そう言って席を立った輝は椛の質問に答えないまま部屋に帰ってしまった。
 悠樹は心配そうな表情をした椛に見つめられてしまった。すぐに笑顔を作るがどこかぎこちない。
「……別に何もないから、椛は心配しなくていいよ」
 わかりやすい嘘だった。誰がどう見ても二人の間に何かがあったのは明白だ。小さな椛にだってそのくらいわかる。
 食事を終えた椛はすぐさま輝の部屋へと向かった。
 か弱い力でドアを叩くと椛は緊張したような震えた声を発した。
「は、話があるの」
 ドアが開かれその隙間から輝の顔が覗いた。
「何?」
「ううん、なんでもないの。ちがう、なんでもあるの」
「はぁ? まあ、いいや、とにかく中入りなよ」