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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 ?理解不能?の四文字が悠樹の頭の中をいっぱいにした。先ほどの輝との言い合いを悔いての発言ではない。ある?数字?がそうさせたのだ。
 横にいた輝もその?数字?を悪魔の数字だと思った。しかし、驚愕のあまり声には出せなかった。
 デパート内にある子供服専門店。そこで微笑んでいる綾乃は悠樹と輝にとっては悪魔が笑みを浮かべているようにしか見えなかった。その傍らにはかわいらしい服と靴に着替えた椛が佇んでいる。こちらはかわいらしい仔悪魔に見える。
 レジに表示されている数字は確かに、どうがんばっても、どう目を凝らそうと、二〇万七千九〇〇円と表示されている。これを悪魔の数字と呼ばずして何と呼ぶのか!?
 買った量が半端ではなかったのだ。椛が私生活を送るために必要な服をまとめてあれやこれやと綾乃が選んだ結果、大きい手さげ紙袋が六袋分。
 店員は明らかに不信の眼つきで悠樹たちを見ている。こんな子供たちがこんな大金を払えるのだろうかという気持ちからだ。それに椛は試着した服を着たままで帰る準備オーケーである。
 ショートしていた悠樹の脳が復帰した。
「……こんな金あるわけないだろ」
 店員は少し嫌な顔をした。金がないならこんなに買おうとするなと、いらつきを覚えたのだ。だが、しかし悠樹は――、
「少し待っていろ、現金を下ろしてくるから」
 決して買えないとは言わなかった。財布に持ち合わせが入っていなかっただけだ。
 普段は主婦感覚の金銭感覚を持ち合わせている悠樹だが、たまにその金銭感覚がズレる。その要因は彼の育ってきた家庭環境にありそうだ。
 デパート内にあるキャッシュディスペンサーで現金を下ろしてくると、悠樹はレジにバンと出した。ここで何故か輝がニヤッとした。それは店員の表情が手のひらを返したようによくなったからだ。
 これで買うまでの肯定は無事終了したわけだが、問題はこれからだ。
 大きい手さげ袋を六袋も誰が持つのか?
 一斉に?謀った?ように輝に視線が集中した。
「オレ?」
「当ったり前じゃない、アタシと椛ちゃんはか弱いレディーだし、悠樹はお金払ってくれたんだから
、輝が持って当然でしょ?」
 みんなで分担して持つという選択肢は最初から存在していなかった。最初から輝が持つ運命だったのだ。
 しぶしぶ納得した輝は手さげ袋を両手いっぱいに持った。――重い。