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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 沈黙の時間が続き、だいぶ時間が経った頃、輝が突然口を開いた。
「なあ悠樹」
「何だ?」
「椛ちゃんのことどう思う? オレは人間じゃないっての信じてるんだけど?」
「どっちとも言えないが、人間である可能性の方が現実的だ」
「あっそ、つまんねぇ〜な」
 輝は両手をいっぱいに高く上げて身体を伸ばした。そして、
「でも、今の状況はちょ〜おもしれー。武に話したらもっと楽しくなると思うんだけどな……」
「駄目だ」
 間入れず悠樹の言葉が入った。
「それは絶対に駄目だ。確かに武は超常現象おたくだ、で必ず話に首を突っ込んで来る。そこが駄目だ。話がややこしくなる」
「どーしてさ、武きっと役に立つぜ」
「武の知識が役に立つ可能性はあるが、あいつは騒いで、はしゃいで、独りで先走って
周りをかき乱す」
「まぁな、武のことだから『マジで!? ホント!? スゴイやそれ! ねぇねぇねぇ、うわぁ、もう、うれしーな』とか早口で騒ぎまくるよな……」
「だろ? だから言うなよ。誰にも」
 輝は立ち上がり空き缶をゴミ箱の中に投げ込んだ後に言った。
「椛ちゃんの記憶戻ると思うか?」
「さぁな。――一週間は待ってみるつもりだが……」
 輝は眉を寄せて口を空けた。
「はぁ? 一週間って何?」
「一週間経ったら警察に連絡して椛を引き取ってもらうからな」
「なんだよそれ! 聞いてねえよ!」
「今初めて言ったからな。でもこれは守ってもらうぞ。いつまでも俺たちで面倒を看るわけにもいかないだろう」
「勝手に決めんなよ!」
「では、何かいい方法を言え」
「無い! けど、記憶が戻るまでオレが面倒看る」
「アホだろお前、家事一つできない奴が小さな子供を育てられると思っているのか? それに今の状態じゃ椛は国からの社会保障も受けられないし、病気になった時も困るだろう」
「椛ちゃんは人間じゃないから、もともと国からの保障なんて関係ねーよ」
 二人の間には明らかに奸悪なムードが漂っている。そこへ現れた綾乃がたまたまケンカを止めるきっかけになった。
「椛ちゃんの服決まったから悠樹お金出して」
「わかった……」
 ゆっくり立ち上がると悠樹は、ゴミ箱の中に空き缶を投げつけてこの場を後にしていった。

「……なぜ、こうなる?」