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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 こんな荷物持ちのシーンはテレビなどの中だけだと思っていたが、現実にあるもんなんだなと輝は思った。
 そんなことを思って回りを見回すと、すでにみんな先をさっさと歩いていた。
 ――荷物を押し付けられて置いていかれた。そう思った輝は急いでみんなの後を追ったが、みんなはエレベーターに乗り込み、輝が乗り込もうとしたその時エレベーターのドアは閉まった。
 この時輝の何かに火が点いた。――輝猛ダッシュ!
 階段まで走り、二段飛ばしで階段を駆け下りる。そして、一階のフロアの床が見えたところでジャンプ!
 輝は階段から華麗にジャンプしたつもりだった。
 ゴキッ! 骨が鳴った。思わず足首を押さえてうずくまる。これは痛そうだ。
 いつもならこんなジャンプ軽々飛べるはずだ。体育の成績もいい方だ。だが、荷物が予想以上の邪魔をした。
 捻挫くらいしてしまったかもしれない。だが、輝は走った。何故だかわからないが走った。
 痛みに耐えてどうでもいい根性を見せてしまった輝はどうにかデパートの外に出た。
 みんなを探そうと辺りを見回した輝はすぐに遥か遠くを歩く三人を見つけた。
 早く追いかけようと思った輝であったが、その足が不意に止まった。
 少し遠くを歩いている人物。それが輝の目に飛び込んで来た。
「あの銀髪は……」

 玉藻琥珀はある人物と会うためにカフェで待ち合わせをしていた。
 昼食を摂りながら琥珀が待っていると、黒ずくめの服を着た女性が琥珀の前に現れた。 女性が琥珀の前の席に着くと注文を取りにウェイターがすぐにやって来た。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「彼と同じものでいい」
 女性の声は落ち着いており、ミステリアスな雰囲気を感じさせた。
 ウェイターの去った後、女性はテーブルに肘をつき話を始めた。
「今の生活には慣れたか?」
「ああ、君には感謝しているよ。行く当ても無かった僕を拾ってくれたわけだしね」
「そうか、それならいい。だが、目立った行動は慎むように言ってあったはずだが?」
「彼らは僕の血を呼び覚ましてしまったんだ。都で暴れていた頃を思い出すね」
 二人はいったい何のことを言っているのか……琥珀が都で暴れていた?
 琥珀は妖艶とした笑みを浮かべていた。その表情は女性の一言によって驚きの表情へと変えられた。
「椛がいたぞ」