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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 小春市は大きく分けて、坂の上と坂の下を境界線に分かれている。坂の上は都市化が進んでいるのだが、坂の下は立地条件が悪く田舎臭い景色が広がっているせいか都市開発が遅れていた。当初は坂の下の都市化計画が市で計画されていたのだが、不況のあおりでその話は無かったことにされてしまったのだ。
 デパートは七階建てで、六階までが売り場で七階は駐車場、そして、地下にも駐車場がある。
 輝たちは三階にある子供服売り場に向かった。
 子供服売り場には当然だが子供服がいっぱいある。それも年々増えているような気がするし、値段が大人服と変わらない――それよりも高い場合がある。
「さあ、お洋服選びましょう」
 綾乃はとにかくヤル気満々だが、椛はいっこうに動こうとしなかった。
 繋いだ手の先にいる自分を不安そうな瞳で見つめる少女。綾乃的ベストアングルだった。しかし、今はそんなことよりも、なぜそんな顔をしているのかを聞かなくてはいけない。
「どうしたの、どれでも好きなの選んでいいんだよ?悠樹?持ちだから」
 この時初めて悠樹は知った。
「俺が払うのか?」
「「もちろん」」
 輝と綾乃の声が?謀った?ように重なった。しかも、満面の笑み。
「……予想範囲ではあったがな」
「じゃあそういうことで、皇子の許可も出たことだし椛ちゃんのお洋服いっぱい買いましょう」
 ちなみに悠樹は許可を出した覚えはない、ただあきらめただけだ。
 椛は辺りをきょろきょろと見回すが動こうとしない。いっぱいの服に囲まれて、どれを選んだらいいか迷い、困ってしまっているのだ。
 そんな椛を引っ張り、リードしてくれるのは綾乃だ。
「アタシが選んであげるから、ねっ!」
 手を引っ張られて、椛は売り場を駆け巡りツアーに連れていかれてしまった。
 ツアーに置いていかれた二人はやることがなくなったしまった。
「どうする悠樹?」
「あっちに自販とベンチがあっただろう」
「そうだな」
 二人は自動販売機で飲み物でも買ってベンチで女性の買い物を待つことにした。
 二人は思う。女性の買い物にしっかり付き合える男はいったいどんな魔法を使っているのだろうか?
 先に自動販売機の前に立った輝は財布を取り出し五〇〇円玉を入れると、
「おごるから何飲む?」
「コーヒー」
「じゃあオレは紅茶」
 ベンチに座る悠樹にコーヒーを差し出し輝もベンチに深く腰掛けた。