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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 激しく泣きじゃくる椛。今はとても話せる状態ではなかった。変わりに綾乃が自分のわかる範囲で話した。
「二人でお皿洗いしてたら椛ちゃんがお皿を割っちゃって……それでアタシが破片で怪我して、急に椛ちゃんが……アタシにも何が起きたのかわからないのよ」
 嗚咽しながらゆっくりと顔を上げた椛。その目には涙がいっぱいだ。
「うぐっ……げほっ……うっ、あははは〜っ!」
 急に椛は腹を抱えて笑い転げた。その指差す方向には輝が立っていた。
「オレ?」
 ……無言で輝のことを見つめる悠樹と綾乃。そして、二人も笑い出した。
「く、ははっ、なんだその格好は!?」
「きゃはは、何それカッコわるぅ〜、もうウケるよ輝ったら……はは」
 最初は何のことだかわからなかったが、輝は自分の下半身を見て初めて気がついた。
「なんじゃこりゃ〜!!」
 ズボンがずり落ちて派手な柄のトランクスが丸見えだった。実に間の抜けた滑稽な格好だ。
「あはは、おもしろ〜い!!」
 まだ腹を抱えて椛は笑っている。何はともあれ椛が元気を取り戻してくれたのでよかった。
 だが輝は顔を真っ赤にして急いでズボンを上げてベルトを締めた。
「なんだよ、急いで駆けつけようとしたらこうなっちまったんだよ。いい加減笑うな!」 やるなと言われるとやりたくなり、笑うなと言われると笑ってしまうのが人間の性である。特に綾乃はツボにハマッて大爆笑だ。
「きゃははは……もう、ダメェん……腹痛い……死ぬって、きゃは……」
「笑うならあっち行って笑ってろ、皿はオレが片付けておくから」
「きゃはは、うん……任せたから……きゃはは」
 笑い過ぎて歩くのもままならなくなってしまった綾乃は、腹を押さえながら悠樹に支えられながらこの場を後にした。
 椛はこの場に残り、輝のこと上目遣いで見つめていた。
「笑ったりして、ごめんなさい……」
「いい、いい、別に。笑いたい時は笑えばいいんだよ。さっ、椛もあっちいってろ危ないから」
「うん」
 大きくうなずくと椛は走っていってしまった。
 輝は一息ついて割れた皿の片付けを始めた。だが――。
「きゃはははは〜っ!!」
 遠くからどっかの誰かさんの声が聞こえた。
「……綾乃笑い過ぎなんだよ」
 輝は再び顔を真っ赤にした。

 出かける準備ができ、まず最初に椛の服を買いにいくことにした。