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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 今日の朝食のメニューはトーストとスクランブルエッグとウインナー。簡単なメニューではあるが、輝が作ると誰にも理解してもらえない芸術作品になってしまう。トーストは闇のように黒くカチカチの物体に変化し、スクランブルエッグは殻入りの歯ごたえ万点カルシウム豊富な黄色と白色の混じった一つの塊になり、ウィンナーはタコさんウインナーにしようと、できもしないことに挑戦し、おぞましい怪物を作り出してしまう。
 のどかに朝食を摂っているとチャイムがピンポーンと鳴った。
 次の瞬間、ドンドン、ガチャガチャ、ドゴッっというけたたましい轟音が玄関から鳴り響いてきた。のどかな朝食は一瞬にしてぶち壊しだ。
 ゴンゴンゴン!! まだ玄関から音がしている。借金の取立てではないが、迫力なら負けていない。
 コーヒーカップをテーブルの上に必要以上に強く置いた悠樹は、頭を抱えながら玄関に歩いていきドアを開けた。
 ドアの先に立っていたのは準備万端な綾乃だった。
「おはよー!」
「近所迷惑だ」
「えっ? 何のこと?」
 ものすごいとぼけぶりだった。
「ドアを殴ったり蹴ったりしてただろ」
「近くで工事でもしてるんじゃないの?」
「まだ、朝食も終わっていなければ着替えも済んでいない」
「じゃあ、家の中で待たせてもらうから」
 そう言うと綾乃は悠樹を押しのけ強引に家の中へ入っていった。
 ダイニングに着いた綾乃は輝の横に来てウインナーを奪って口に入れると、
「早く食べて、着替えて、出かけるわよ」
「オレのウインナー!? 最後に残しておいたんだぞ!」
「最後に残しておくのが悪いのよ。人生なんていつ何が起こるかわからないんだから、好きなものは先に食べる。そうしないと後悔するわよ」
「お前が食ったんだろ」
「だから何が起こるかわからないのよ」
「あ〜っ、もう、意味わかんねぇ」
 そう言って輝はコップに残っていた牛乳を一気飲みすると、怒ったようすで自分の部屋にいってしまった。
 そんな光景を見ていた悠樹は深くため息をついた。
「はぁ、子供の争いを見ているようだ」
「仕返しよ、仕返し。アタシも前に輝に同じことされて、同じセリフ言われたから、そのままお返ししてやったのよ」
 ウインナー闘争の根は以外に深かったのだ。
「お姉ちゃん子供みたい、あはは」
 綾乃が振り向くと椛に指をさされ笑われていた。
「どうせアタシは子供よ」