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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 フローリングの床の上で腹ばいになって倒れている輝は、二人が消えていった方向へと手を伸ばし、どっちにしてもぶっ飛ばされたと思い力尽きた。
 輝がもう動くのもだるくて床の上で寝そべっていてしばらくすると、お風呂から出てきた綾乃に蹴飛ばされた。
「何やってるの、こんなところで?」
「別にぃ〜」
「それよりも、お風呂入って気づいたんだけど、椛ちゃんの服が無いんだけど? しょうがないから同じ服着せちゃったけど……」
 綾乃の言う通り、椛はお風呂に入る前と同じ格好をしていた。付け加えると綾乃も当然服は自分のウチにあるので同じ格好をしている。
「服がないから、どうしたんだよ?」
「明日椛ちゃんの服も買いにいこうかなぁ〜って思ってね。ほらだって、こんな格好じゃ目立つでしょ?」
 巫女装束を着ている子供なんて街中には普通いない。
 服を買いにいくのはいいとして、輝には気になる点がひとつだけあった。
「誰がお金出すの?」
 しばらく考えて綾乃はポンと手を叩いた。
「皇子様はお金持ちだから大丈夫でしょ」
 皇子様とは当然悠樹のことを指している。実は悠樹の家はお金持ちで、悠樹の銀行口座には親から毎月多額のお金が振り込まれている。その金で好き勝手にやれということなのだ。
 ちょうどいいところに悠樹が帰宅して来た。
「ただいま」
 そう言いながらダイニングに入って来た悠樹のことを綾乃が懇願の熱い眼差しで見つめた。
「皇子様ぁ〜、綾乃お願いがあるんだけどぉ」
 ちょ〜猫撫で声&ブリッ子モードで綾乃は悠樹に接近して、顔と顔を間近に寄せた。
 急にそんなことをされても悠樹は冷めた表情をしていた。綾乃敗北。
「お願いって何?」
「椛ちゃんにお洋服買ってあげたいんだけど、私たち一般人はお金がないから」
「それって皮肉か? でも、まあいい。俺も服のことはこのままの格好じゃまずいと思っていたから買うよ」
「よっし! ほら、椛ちゃんも皇子様にありがとうして」
 綾乃に命じられるまま椛は悠樹に駆け寄って抱きつき、上目遣いで一言。
「お兄ちゃんありがとぉ」
 この行動はお風呂で綾乃に仕込まれたものだ。綾乃は最初っから悠樹に金を出させるつもりだったのだ。
 抱きつかれた悠樹は少し顔を赤くした。小さい女の子と接する機会があまりない悠樹は、小さい子供に抱きつかれるなんて初めての経験だった。