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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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「あ、そうですか。材料は冷蔵庫にあるのを勝手に使ってください」
 尊は冷蔵工の中を物色しながら、呟くように言った。
「月夜霊さんじゃなくて尊でいいから」
「えっ、あの何で?」
「それと、言葉使いももっと気軽でいい。……無理してるように見えるから」
 無理をしているわけではなかった。しかし、そうなってしまうのだ。
 悠樹が小さい頃から彼の両親は仲が悪く、中学生になる前に両親は別れ新しい母親が来た。それから悠樹は自然と?良い子?の自分を演じるようになったのだ。
「尊さん、僕……俺は別に無理してないですから」
 悠樹は尊に自分の心を見透かされてしまったような衝撃的な感覚を受けた。だから、このひとの前では?良い子?を演じていても意味がないと思ったのだが、うまくいかなかった。
「すまない変なことを言ってしまって、逆に気を使わせてしまった」
「そんなことないから、尊さんも俺のこと悠樹でいいから」
 その時、ダイニングから輝が声をかけてきた。
「飯まだぁ〜!」
「アホかお前は、そんなに早くできるわけないだろ」
 悠樹に言うことは当たり前のことで、そんなこと輝もわかっていて言ったのだが、自分の置かれている状況から逃れたかったのだ。
 夕食の準備のため悠樹と尊は台所へいってしまい、残された輝は三人の女性に囲まれていた。普通の女性ならウハウハの状況だが、ここにいる女性陣ではそうもいかなかった。
 悠樹たちがいなくなってから綾乃は椛と遊び始めて、輝はソファーでぼんやり座っている未空と会話をしようと試みたのだが、話すことが無くてすぐに会話は終了してしまったのだ。
 仕方なく輝はテレビを見て時間が過ぎるのを待つことにした。
 テレビをつけると椛が急にテレビ画面の前に釘付けになってはしゃぎ出した。
 そんなこんなで時間が過ぎていき、食事の用意もでき、食事をしながら椛のことについて話し合うことにした。
 テーブルの上に並べられたスパゲティーと野菜スープを口に運びながら、この場を仕切っているのは綾乃だった。
「さっき椛ちゃんと話していたりしてわかったポイントは三つ、記憶喪失、お兄ちゃんを探している、人間じゃない。この三点を踏まえて明日から調査ってことで」
 スパゲティーを食べるのに集中していた輝がその手を止め、思わずぼやいた。