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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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「じゃあ、多数決に基づいて輝の家で椛ちゃんを預かってもらいましょう。ハイ拍手、パチパチパチぃ〜」
 笑顔で拍手をする綾乃。輝は何か納得いかない。
「少数意見の尊重はどうした? オレの意見が尊重されないなんて民主主義じゃない!」「あら、多数決で決まったんだから文句言わない。ほら、椛ちゃんだって」
 輝が下を見ると椛が潤んだ目で輝のことを見つめていた。その表情を見て激マブだと思ってしまった輝は負けた。
「しょうがない。責任を持って悠樹が面倒を看るから安心しろ」
「……結局俺か」
 ああ、無情だ。いつも悠樹は輝から大変な役回りを回される。これはきっと輝と付き合っている以上、一生続くに違いない。
 何も言わず悠樹はこの場から消えようとした。
「どうしたんだ悠樹?」
 輝が声をかけると、冷めた目で振り向き、
「夕食の準備するけど、……月夜霊さんと星川さんはパスタですが食べていきますか?」「そうだな、まだ椛について話し合うこともあるだろうから夕食を食べながら話そう。未空はどうする、帰るか?」
「あたしも残る」
「じゃあ、五人前ですね」
 悠樹は、この家で家事を全部するのは宿命なんだと思うことにした。
「皇子様、一人前追加ね」
 悠樹が振り向くとそこには人差し指を立てた綾乃が立っていた。
「……六人前」
 少し疲れた気分だ。輝と綾乃は絶対料理を手伝わない――むしろできないのを知っているので、尊と未空のどちらかが手伝ってくれないかと淡い期待を抱いてみる。
「あたしはできないから」
 未空に先手を打たれた。悠樹の心を見透かすような一言。だが、天は悠樹の味方だった。
「食べるだけでは悪いから、私が手伝う」
 尊はソファーから立ち上がって悠樹のもとへ近づいていった。悠樹は本当にうれしかった。
「ありがとう、助かるよ」
 そう言うと悠樹は輝を軽く睨んだ。睨まれた輝は不思議な顔をする。そして、悠樹と尊はキッチンに向かった。
 キッチンとダイニングはカウンター越しに吹き抜けになっている。
 悠樹は冷蔵庫から材料を出して並べると少し考え込んでしまった。手伝ってもらえるのはうれしかったのだが、実際料理を始めようとすると独りの方が手際よくできるのではないかと思えてきた。
「月夜霊さんは……」
 尊も悠樹が思っていることを察したらしく、
「……私は簡単なスープを作るから」