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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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「まず、月夜霊さんと星川さんがここにいる理由と……そこの誰?」
 綾乃の目に飛び込んで来たのは巫女装束を着た童女――椛だった。
「この子は椛。記憶喪失で迷子になっているところに出くわしてここに連れて来た」
 話を聞いていた綾乃の肩を後ろから来た輝が叩いた。
「しかも、妖怪だ」
 まだ、輝の中では妖怪ということになっている。
「確かに格好は現代風じゃないわね。座敷わらし?」
 綾乃の中でも椛は妖怪にされてしまった。
 綾乃もまた椛が人間ではないことを信じた――それが悠樹には不思議でたまらなかった。どうしてここにいるみんなはそんな話を信じるんだろうか……。
 綾乃は椛をまじまじと見て、
「で、この子どうするの?」
 至極最もな質問だった。ここに連れて来たのもそのことについて話し合うためだ。しかし、そのことについての話は一向に進んでいなかった。
 輝が自宅に帰って来るまで椛をどうするか話してはいたが、悠樹は警察に連絡した方がいいと言い、それを未空と尊に止められていて時間が過ぎてしまった。
 もし、警察に連絡しても人間でない椛の対処はできないだろうから、記憶喪失で親の行方がわからないとされて、児童養護施設に送られてしまうだろうというのが未空の言い分だった。
「は〜い、意見があるんだけど……」
 綾乃が勢いよく手を挙げ答えた。
「まず、椛ちゃんの記憶を取り戻すことが先決で、その間誰かの家で預かるのがいいと思うんだけど?」
「はぁ?」
 輝は口を空けて綾乃のことを見た。これは『どこの誰が預かるんだよ』と言う意思表示である。
「アタシが思うに輝の家が適役だと思うんだけど、どうかなみんな?」
「ちょっと待てよ、なんでウチなんだよ!?」
「だって、輝んち両親いないからいいじゃん。ね、悠樹はいいよね?」
「確かにこの家で預かるのが一番リスクが少なく、いろんな人に迷惑をかけなくて済むと思う」
「ちょっと待てよ悠樹。ここは俺んちなんだから決定権はオレにあるんだぞ」
 輝としては椛のことをほっては置けないが、自分の家で面倒を看るとなると
話は別である。しかし、綾乃は絶対この家に預けようとしている。
「輝く〜ん、日本は民主主義の国だから多数決で決めましょう。輝んちでいいと思う人は挙手して」
 輝以外のみんな?謀った?ように一斉に手を上げた。この瞬間輝は思った――悪の策略だ。