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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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「だから、じゃあなんだよお前?」
「……わからない」
 急に椛は声のトーンを下げてうつむいてしまった。そして、肩をヒクヒクさせ始めた。
 すぐに鋭い刺のような声で尊のツッコミが入る。尊は人の痛いところを攻撃するのが得意だったりする。
「真堂、泣かせたな」
「なんだよ、オレのせいかよコレ?」
「椛は記憶喪失らしい」
 これは尊が言ったのだが、何故か輝の攻撃の矛先は悠樹に向けられる。
「そういうことは先に言えよ!」
「なんで俺なんだ!?」
 まったくだ。なんで悠樹なのだろうか? 答えは輝が未空と尊のことをまだよく知らないので、絡みづらいのだ。
 実は輝は未空と尊を前にして、いっぱいいっぱいだったりした。テンションが空回りして、そろそろ息抜きをしないと窒息しそうだった。
 その時、天の救いか、家のチャイムが鳴った。すぐさま輝が反応する。
「オレ出て来る」
 素早く玄関に移動した輝はドアを開けた。するとそこに立っていたのは段ボール箱だった――いや、違った。
「なんだよ、綾乃かよ。って何その段ボール箱?」
 家を尋ねて来たのは隣に住んでいる輝とは腐れ縁の涼宮綾乃だった。その腕には段ボール箱が抱えられていた。
「ママの実家から今年もまたパイナップルが送られて来たからおすそ分け」
 昔から輝の家と綾乃の家は家族ぐるみで交流があり、おすそ分けを貰ったり、輝の両親がいなくなってからは夕飯のおかずもよく届けてもらっていた。
「おすそ分けって、ただ家族で食い切れないだけだろ」
 鋭い家庭事情へのツッコミをされて図星だった綾乃は、強引に段ボール箱を輝に手渡した。
「そんなこと言わないで黙って受け取んなさいよ……あれ?」
 綾乃はあること気が付いてしまった。玄関に靴が異様に多い――しかもさっきから部屋の奥から話し声が漏れてくる。
 輝に試練の時が訪れてしまった。
「誰か来てるの?」
 ここで未空と尊、それに謎の少女がいることがバレたら大変なことになる。なんで尊と?未空まで?いるのかと尋ねられてしまい、そんなことを尋ねられても輝自身、二人がウチに来てるなんて信じられない出来事だし、椛のことが知れたら絶対話に首を突っ込んで来たがるに違いないのは綾乃の性格を熟知している輝にはわかる。
 どうしてもここで綾乃を帰さなくてはいけない。
「ちょっと知り合いが来ててさ。パイナップルありがと、じゃ」