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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 風は琥珀の身体を上空に止め、その動きを封じた。
「「今のうちに輝の弓矢で!」」
 二人に同時に叫ばれたが、輝はどうすることもできない。矢は全て使い果たしてしまっている。
「そんなこと言われても、どうすりゃーいいんだよ!」
 輝の肩に未空が手を乗せた。
「輝クン、弓を構えて。葵城クンもあたしと同じように輝クンの肩に手を乗せて」
 悠樹は未空に言われたとおりに輝の肩に手を乗せ、輝の左右の肩には未空と悠樹の手が片方ずつ乗る形となった。
「どういうことだよ、何しろっていうんだよ!?」
「椛ちゃんたちがするように、矢をあたしたちの力で作り出すのよ。さあ、輝クンは矢を引くイメージをして、あたしと悠樹クンは目を閉じて輝クンに力を送るように念じるのよ」
 未空が目を閉じ、それに続いて悠樹も目を閉じると、輝に自分の力が流れ込むように念じた。
 輝も半信半疑だったが矢のイメージを頭の中に思い浮かべながら矢を引く動作をした。矢を引いているつもりの手には、確かに何かの手ごたえがある。
「「早くして、琥珀が逃げるよ!」」
 琥珀は身体を激しい炎で燃やし風の結界を打ち破ると、上空から今までで一番大きく激しく燃え上がる紅蓮の炎を咆哮と共に吐き出し輝に向かって飛ばした。
 輝は自分に向かってくる紅蓮の炎から逃げることなく矢を解き放った。
 弓から放たれた矢は光の刃と化して紅蓮の炎を突き破り掻き消すと、そのまま琥珀の身体を突き抜けた。
 琥珀は声にならない叫びを上げると、炎を全身に纏いながら地面に落下し、やがて琥珀の身体を包み込んでいた炎は静かに消え、そこには銀色の狐だけが残った。
 生き絶え絶えながらも琥珀はふら付く足で立ち上がると、廊下の奥の闇へ逃げようとした。だが、琥珀は途中で廊下の床に倒れこみ動かなくなった。その途端に、建物が急に揺れ始めた。
 椛&楓が騒ぎ出した。
「「力を失った建物が崩壊するよぉ!」」
 悠樹は綾乃を担ぎ上げて、力を使い果たして動けなくなっていた輝は未空の肩を出口へと歩き出した。椛&楓もそれに続いた。
 未空が急に足を止め何かを感じたように後ろを振り向き、他の者もそれにつられるようにして足を止めて後ろを振り向いた。