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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 輝は顔面蒼白になり、すぐに再び壁の後ろに隠れた。
「何だよ、反則だろうがあの再生能力は!」
「でも、輝すごいじゃないの! どうして矢が撃てたのよ?」
「知らねぇよ、無我夢中でやったらできたんだから。そうだ、星川さんにオレは潜在的には魔力とか霊力みたいな力を持ってるって言われたような気が……」
「きゃーっ!」
 綾乃が突然悲鳴を上げた。輝が綾乃の視線の先を見ると怒りに燃える琥珀が立っていた。
 すぐに輝は綾乃の手を取って逃げ、間一髪のところで琥珀の炎から逃げた。輝たちのいたところは黒く焼け焦げてしまった。もし、少しでも逃げ遅れたら丸焼けになっていたに違いない。
 琥珀は輝たちに気を取られている間に椛の矢を背中に幾本も浴びた。しかし、琥珀は少しも怯むことなく輝たちを追った。
「人間風情が脅威になろうとは!」
 琥珀はまさか輝によってあんなにも強力な一撃を喰らうとは思っても見なかったのだ。今の琥珀には輝しか見えていなかった。
 輝と綾乃はロビーを抜けて琥珀の追撃から逃げた。時折、炎の塊が二人の上や横を通り過ぎるが、どうにか当たらずに済んでいる。それは、琥珀の後ろを追う椛が弓矢で琥珀の攻撃を妨害しているからに他ならない。
 逃げ回る輝と綾乃はやがて廊下の端まで来てしまい、階段に差しかかった。
「ここ何階だと思う?」
「とりあえず下にいきましょう」
 二人は示し合わせるように互いの顔を見てうなずくと、階段を駆け下りた。
 階段を下りている途中で炎の塊が雨のように振って来たが、どうにか無傷で逃げ切ることができた。
 階段を駆け下りた輝と綾乃は後ろを振り返ることなく、無我夢中で逃げた。その間も後ろからは琥珀の咆哮と共に炎の塊が飛んで来ていた。
 玄関ロビーが見えて来て、そこを抜ければ外に出られると思ったその時だった。琥珀の吐き出した紅蓮の炎が渦巻きながら綾乃の背中に命中した。
「きゃーっ!」
 炎は服に引火して熱さと痛みによって綾乃は廊下を転がりまわった。炎はすぐに消えたが、綾乃の背中は服も肌も焼け焦げ、髪の毛も背中に面していた部分が焼けて独特の異臭を放っていた。
「うっ……うっ……痛いよ、死にそうなくらい痛いよ」
「死ぬわけないだろうが!」
 輝は綾乃を抱きかかえるとロビーに向かって走った。