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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 意味深なことを言い残して未空は?闇?の中に飛び込んだ。
「星川さんと別の場所に行っちゃったりして……なんてね」
 顔を引きつらせながら綾乃も?闇?の中に飛び込んだ。
 闇を抜けて二人が出てきた場所は、薄暗い廊下だった。きっと、病院に戻って来たに違いない。しかし、病院内は琥珀たちが逃げるために前よりは明るく、廊下の先まで見渡せるようになっていた。これは未空たちのとっても好都合だ。
 未空は床に座り込み壁に疲れたように寄りかかった。
「弓矢を放つのに力をだいぶ使ってしまったようね」
「だいじょぶ、星川さん?」
「あたしはここで休むから、この弓矢を誰かに届けてくれる?」
「アタシ独りで!?」
 廃墟の病院で女の子独りでいけるわけがない。綾乃は絶対ここを動きたくなかった。
「みんなのピンチを救ってきて、お願い……」
 弓矢を託して未空はぐったりとして目を閉じた。
「星川さん、だいじょうぶ!」
 綾乃は未空の肩を揺さぶるが反応がない。息はしているようなので気絶しているだけだろうが、独りになってしまった綾乃はパニック状態に陥った。
「星川さんってば、起きて、起きてよ、お願いだから起きて!」
 未空は起きることがなかった。
 絶望の淵に追いやられた綾乃は無言で肩を落とし泣いた。
「うっ……うう……どうしよう、どうすればいいのよ! 恐いよ……誰か……悠樹……助けてよ……」
 綾乃の口から本音が出た。誰よりも助けに来て欲しい人――それは悠樹だった。
 輝を通して悠樹と幼稚園の時に知り合った綾乃は、いつしか悠樹に恋心を抱いていた。それを自覚したのは中学に入った頃に悠樹の性格が少し変わってしまった時だった。変わってしまった悠樹に反発を覚えた綾乃は、それと同時に悠樹のことが好きだったことに気がついたのだ。
 しばらくの間、肩を揺らして泣いていた綾乃であったが、弓矢を手に取り立ち上がると涙を拭いて走り出した。
 そんな綾乃を誰かが止めた。
「そっちじゃないわ」
「えっ? ありがとう」
 誰かに礼を言った綾乃はUターンして廊下を駆け抜けていった。そんな綾乃は走りながら何かの疑問を覚えたが、今は無我夢中で走ることで精一杯だった。
 廊下に残された未空はゆっくりと目を開けて、むくっと立ち上がった。気絶は演技だったのだ。
「……やっぱり、葵城クンのことが好きだったのね」