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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 もう輝は何も言わなかった。この三人は勘で人生の全てを乗り切って来たんだと思うことにした。
 未空は辺りを見回して、薄気味悪い笑みを浮かべながらぼそりと呟いた。
「霊安室みたいね」
「…………ウソ?」
 輝は一瞬にして身を凍らせてしまった。
 辺りは薄暗く陰気の漂う病院。そして、ここは霊安室ときた。恐がらない者などそうはいまい。
「は、早く出よう」
 それが輝の口から出せた精一杯の言葉だった。
 あからさまに恐がる輝を見かねて、椛&楓が輝の手を片方ずつ持って引っ張った。
「「恐がらなくても平気だよ」」
 二人にそう言われても輝の足は動こうとしなかった。
「「輝、男の子なのに恐いんだーっ!」」
 小さな子供にこんなことを言われると腹が立つが、恐いものは恐い。動きたくても足が動かないんだからしょうがない。
「う、うるさいな、も、もう少し経ったら動く……ぎゃ!」
 輝は背中に何か柔らかいものが触れたのを感じて思わず叫び声を上げて、椛&楓と手を繋いだまま三メートルほど走ってしまった。
 恐る恐る輝が後ろをゆっくりと振り向くと、さっき自分がいた場所に未空が立っていた。
「い、今の、星川さん?」
「うん、後ろから抱きつこうとしたの」
「何でそんなことするんだよ!」
「後ろから抱きついて脅かそうと思ったの。でも、あんなに驚くなんて、輝クンかわいいわ……ふふ」
 輝はうつむいて含み笑いをする未空の顔見て、その視線をもうちょっと下に下げて気がついた。その瞬間、輝は顔を真っ赤にした。
「今オレの背中に触れたのって……」
 背中に触れた柔らかな感触、あれはきっとアレだったに違いない。そう思いながら輝は未空の胸の辺りを見て、さっと視線をすぐに逸らした。
 いろいろな邪念を振り払うために輝は椛&楓と手を放すと、霊安室のドアからひとり出ていった。が、すぐに戻って来た。
「……あれ?」
 思わず輝は呟いた。彼に予期せぬ自体が起きたのだ。
「あれ、確かに外に出たと思ったのに……同じ場所に戻ってきたぞ?」
 そう、霊安室を出たつもりが霊安室の中に入ってしまったのだ。
 未空と椛&楓も霊安室から急いで出てみたが、結果は輝と同じだった。
「「変なのぉ〜」」
「変なのは空間が捻じ曲がってしまっているせいね」
 未空は辺りを見回した後に深いため息をついた。
「ふぅ、閉じ込めらたわ」