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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 チャイムが鳴りしばらく経ったところで、図書室の中に少し変わった容貌の男が飛び込んできた。
 図書室に飛び込んで来た男は長身で、長く銀髪に伸びた髪を腰まで伸ばし、東洋系の顔ではあるが目鼻立ちのはっきとしているとても綺麗な顔を持っていた。
「ごめん、少し遅れちゃったね」
 ここにいた生徒の大半がこの男が男か女かどちらなのか判断を迷っていたが、今の声で男なんだと一応納得した。一応というのは中性的な顔立ちと長い髪の毛のせいで、実は女なのではないかと疑うことができるからだ。
 銀髪の男は生徒たちの前に立つと自己紹介を始めた。
「僕の名前は玉藻琥珀と言います。今年度から図書室の管理人を任されることになりました。よろしくお願いします」
 輝が琥珀を見ての第一印象は『地毛かあれは?』だった。次に思ったことは、あんな髪でよく学校の図書管理の職に就けたもんだ。ということ。
 微かにだが他人に聞こえるか聞こえないかくらいの声で未空が呟いた。
「少し変わった人」
 未空の琥珀への感想。わかりやすい感想だった。
「明日から図書委員の仕事をみなさんにはしてもらいたいのですが、どうやら学期末の在庫整理などの仕事以外は僕ひとりでもできそうだから学期末の召集まで仕事しなくていいから。ということで今日は解散」
 この琥珀の解散宣言に一同は少し唖然とした。まだ五時間目が始まって十五分も経っていない。
 解散宣言をされたので生徒たちは徐々に帰っていく。早く帰れてうれしいという反面、本当に仕事をしなくてもいいのかという気持ちも少しある。輝は早く終わってうれしいとしか思っていないが……。
 生徒たちが図書室を出て行く中、輝は琥珀に近づいていった。
「あの、その髪って地毛ですか?」
 どうしてもこれだけ聞いてみたかったのだ。
「ああ、これは染めてるんだよ」
 まあ銀髪なんて普通はいないのだが、輝は少し地毛って言ってくれることを期待していたりした。
「もしかしてヴィジュアル系バンドやってたとか?」
「何それ?」
 どうやら琥珀はヴィジュアル系を知らないようで、輝は少しがっかりした。髪の毛の色は変わっているけど琥珀は案外普通の人かもしれないと輝はがっかりしたのだ。普通の人だったらなんのおもしろみもない。
 琥珀への興味がとりあえず今のところ失せてしまった輝は、さっさと帰ることにして図書室を後にした。