蜃気楼に恋をした。
彼が好きだと言うと、その外見から入ったのだろうと言われる。
けれど、はっきり言って、彼は全く私の好みではない。
私の外見的好みは坊主頭か短髪で黒髪で体育会系で背は高め。
彼はどれにもあてはまらない。
性格だって、ほんとは全然好みじゃない。好きだけど、好みのタイプではない。
でも、好きなのは嘘じゃない。
彼を隣に置きたくないと言うと、それは恋じゃないだろうと言われる。
でも、恋はしているのだ。確かに。私は確かに、彼に恋をしている。
彼の性格はとても好きで(しかし好みではない)、恋愛感情を抱いていて、でも彼のようなタイプの人間を隣に置くのだけは絶対に嫌なのだ。
矛盾している事くらいわかっている。でも、嘘じゃない。本当に嫌なのだ。
だって、絶対にたえられないから。
何に、と聞かれても答えられないけれど、とにかくたえられないのだ。
けれど、それでも私は、確かに彼が好きで、彼を愛していて、彼が愛しくて、彼に恋しているのだ。
<矛盾仕様の恋心>
(どうしてこうなったかなんて、私が一番知りたい)