シルバー・ラビリンス
一瞬だけ視界が真っ白になる。それから今度はまた黒に戻り、次に最初の部屋と同じ銀色になり、また白に帰る。というのを3、4回くらい繰り返した後に、私の視界がいわゆる正常に戻っていく。
今度は、一面の銀世界じゃない。何か懐かしい、至って普通の部屋。見れば見るほど飾りのない机と椅子、本が6冊しか入っていない本棚、毒々しいほどに赤いシーツ、サイコロの形をした目覚まし時計。
なぜ懐かしいのか、と思ったらそれは当然のこと。私が山のシルバー城に住んでいた頃に使っていた部屋と同じ部屋、同じ家具、同じレイアウトなんだから。
あぁ、言うの忘れてたわね。私は今、山のシルバー城には住んでいないのよ。まぁ、ちょっと訳ありでね。
作品名:シルバー・ラビリンス 作家名:アリス・スターズ