シルバー・ラビリンス
「……なんで、この部屋?」
そう思うのは当然なわけで。だって、私が山のシルバー城から出たのはもう5年も前の話。今は別のシルバーが使っているはずで、部屋そのものは存在していてもレイアウトはもちろん同じわけないのだから。でも、目の前に見えるものは間違いなく……いや、幻なんだっけ。
机の上に置いてある、やっぱり飾りのないカレンダーは、実に20年以上も前のものだった。当時、私は13歳だったはず。あぁ、年ばれちゃうわね。私の1人娘、ローラが生まれたのもその年だった。
あぁ、また言うの忘れてたわね。私達の世界って、だいたい6歳で大人って言われるようになるのよ。だいたいっていうのは、私達地世界の人間――地人っていうんだけど、地人は大王に大人として認められないと「大人」じゃないからなの。それを出世って呼んでる。私は3歳半で出世したから、もうその時点で大人だったんだけどね。
作品名:シルバー・ラビリンス 作家名:アリス・スターズ